陳列、ポップを考え中

 昨日は雨もきつくて、お客様が少ない一日だった。連休なのになあ。9月、10月は昨年に比べてお客様が少ない。ママと何が原因なのか話した。天気もあるだろう。うちのパンの出来が悪くなったのか。常連さんに聞いても、「おいしいよ」と言ってくれる。心当たりは・・・物価高か。お米、野菜、電気など相当値が上がっている。ガソリンも高い。

OBSでの移動販売で、良く来る年配の女性職員さんとのお話。「ここの食パンがないと困るのよ。おいしいし。毎日食べるから。」「ないときは、スーパーで買うの?」と尋ねると、「そう、ヤマザキのロイヤルブレッド。」「いくらするん?」と私。「190円」と彼女。「そうやねえ、安くていいよねえ。うちのパンは高いのに・・・」

彼女は最後にこう言った。「働いている間は、オニパンの食パンを買うわ。やめたら、ロイヤルブレッドにする。」  年を聞くと、同い年だった。生活が厳しいんだなあと思った。これが普通なんだろう。

話を戻す。庶民は、生活が厳しい。物価高に暮らしを引き締める。お金に敏感。今回の衆議院選挙で思ったことは、お金に絡む問題があったので、自民党に厳しい審判が下ったのだろう。この9,10月加速度的に暮らしが大変になっているのでは。パン屋の経営も厳しくなっている。

さてもう一度大きく話を戻そう。戻そうではなかった、本題に全く触れずにいたっけ。しかし、こんな現状もあり、パン屋の売り上げアップのために何が出来るかを日々考えている。その一環が、陳列やポップの改善問題。

話題性、関連性からパンを並べてみよう。例えば、玄米生地のパン。

こんな説明ポップを作って、玄米系のパンを並べるとか。

こんな感じで、ハード系、りんごデニッシュ系とか、コーナーを作りました。かなりスッキリしてわかりやすい。と思っています。

さて、今日は天気も良くなって、お客様もたくさん来ていただけるのではと。

よろしくお願いいたします。

ナツメのこと

我が家に育つナツメの木。パン屋を始めて最初の頃、APUの学生さんたちがオニパンを支えてくれていた。その学生さんたちは中国人が多く、ナツメのことを教えてくれた。それがきっかけで、ナツメの木を植えている。今から10年以上前の話。オニパンで働くリーくんやオータンのシェアハウスに招かれる。同居人の他の学生さんたちと美味しい手料理をご馳走された。リー君の料理上手に舌を巻く。その料理には必ずナツメが入っていた。中国では、ナツメを食すことが常らしい。調べると、ナツメは体にとても良くて、気持ちをリラックスさせる効果があるとのこと。私とママは、ナツメに関心を持ち、乾燥したナツメをたくさん買い込み、お酒に漬けた。ホワイトリカーより、お酒の方がおいしいだろうと。そして、購入するだけではなく、木を育ててみようとご近所のナツメの木から落ちた種を育てて、我が家の畑に植えてみた。そして3年ほど過ぎた。

嬉しいよねえ、「早く芽を出せ柿の種」じゃあないけれど、実からこんなに育つとは。そして今年はとても嬉しいことが・・・・。何と!!

りっぱな実がついたあ!!!

実の味はりんごのような感触ではあるが、さほど味はしっかりしていない。けれど、とても良い成分が含まれている。これから、ナツメの実でいろいろと出来そう。そして・・・

ふと見やると、部屋の隅っこのごちゃごちゃしたところに、飲み忘れていたナツメ酒があるではないか。2年くらい前の。

オンザロックで一杯。そしてお替わり。そして就寝。

ぐっすり眠れた。ビールも飲んでいたが、夜中目を覚ますこともなく、朝までぐっすり。ナツメの力!!ナツメはいいですよ!みなさんも試してみては。

師匠曰く パン文化はリテールベーカリーが担う

私が修行したあこ酵母製造元「あこ庵」の社長近藤泰弘氏と最近話す機会がありました。「パン文化は個人店が作り、担っている。このままでは、日本のパン文化がなくなってしまう。」との危機感を訴えていました。

なるほど、そういうことか。社長の考えていることは広く深いなあ。所ジョージの「所さん、事件ですよ!」でも、最近やっていた。過去最高の倒産件数。主に個人店。このままの状況が進んでいくと、資本力のない、3K職場のリテールベーカリーは、人手不足となり激減するだろう。大手のスーパー、大規模小売店が進出し、個人店の商店街がシャッター通りになっているように。

オニパンがそうであるように、各個人のパン屋は、それぞれの特徴を持っている。別の言い方をすれば差別化を図らないと生き延びることはできない。小麦の種類、原材料、仕込み方、発酵、焼成方法、仕上げ・・・限りない工夫を絶えず追求している。そして、素敵な、ちょっとどこにもないような、おいしいパンを作り出す。それが出来るのは、技術・熟練・ヒラメキなど自由な創造ができる個人店であるからだ。それが故に、そこに、パン文化が花開く。工場での大量生産、機械の技術では出来ないことが多々ある。

これは、ファミマのイチオシのパンのようだ。もとコンビニの店長だったオニパンの新スタッフ中村君が、「是非食べてみて」と、持ってきた。九州産小麦を使い、カスタードにジャージー牛乳を使っているという。見た目もどっしりと量のあるデニッシュだ。値段も安い。たいしたことないだろうと、たかをくくって、食べた。おっと、カスタードはおいしいぞ!まあ色々(添加物)入っているが、味的にはおいしい。味の研究もしているから、美味しいのだろうなあ。九州産小麦とかいてあるから、それなりにパン生地もうまい。しかし、デニッシュの名前を冠していても、デニッシュとしての生地は今ひとつ。もう一つ。いずれすごい機械が発明されて、バター(このパンはマーガリンだけど)の折り込みが出来るのかも知れないが。けれど、小麦の生地が機械での大量生産に合うほどの耐性がないので、どうしても、耐性を強くするための添加物を入れざるを得なくなる。本来の自然な食べ物とかけ離れていく。

リテイルベーカリーは、味の向上を考えるとき、添加物よりも、質の良い原材料を探す。美味しくするための、いろんな調理法も考える。それは、大量に出来ないけれど、質は向上する。リテイルとホールセール(大規模生産)は、目指すところが違うのだ。その個性が文化を創るし、担うのだ。

もう11月が近づいてきた。オニパンはそのパン文化の片隅にいて、ささやかに考えていることは、再度自家栽培小麦の生産。一度あきらめていた栽培をもう一度挑戦しようと。

小麦を作る前段として、考えねばならないこと。獣害対策。これもパン文化のために必要なこと。

ハード系の扱い

コロナが盛んだったころ、全てのパンをナイロン袋に入れて陳列販売しました。別府店などは、袋詰めしてると、販売も手間取らず、スムーズに行くということで、いまだに袋詰めが当たり前かのようにおこなっていました。

最近、クレセントの売れ行きが悪く、どうしてかなと思っていました。移動販売からの帰りに別府店に立ち寄って、お店の売れ行きを見たとき、あることに気づきました。クレセントがクレセントでなくなっていたことに。ナイロン袋に入れている間に、カリッとした表皮はぶよぶよに、焼き色も今ひとつで(これは発酵の所為)

こんなパンを買う気にはなれないなと思いました。

本日のクレセントです。

フランス系のパンは、発酵の見極めがとても大事で、温度や時間(10分単位)で大きな変化が!本日のクレセントは成功。色合いも良く、クラストにピキピキと小さなヒビもあり、かぶりつくとバリっと音を立てそうな感じ。これがクレセントの本来の姿。これを大事にしないと、クレセントはメニューから消えてしまいます。

カンパーニュも以前Infoで書きましたが、発酵のさせ方を変えました。発酵カゴを使い、焼くときは炉床で直焼き。すると、これもカリッとハード系らしくなります。

クープの開き方が変わりますよね。本日のカンパーニュは焼き色が今ひとつ。もう少し焦げ茶色になってほしかった。これは、発酵が過ぎたのだろうと思います。

このカンパーニュも別府店では袋詰めにしてきましたが、今は裸で陳列してます。この姿を見て、お客様が「この方が美味しそうに見えますね」と、早速の反応。見ている人は見てるなと思いました。

オーブン・リノベーション フランスは石床!

オーブンはパンの命。あこ酵母の社長は常々パン作りで大事な三要素としてこう言っている。「パン作りで大事なことは、一に小麦粉、二に酵母、三にオーブン。」パン職人を長年やっていると、その言葉の意味がよくわかる。それぞれ外してはならない大事な要素。特に直焼きのバゲットは、オーブンの善し悪しで決まると言っても良い。今回購入したワールド精機のオーブンは、精巧で蓄熱製も良く大変優秀なオーブンだ。しかし、以前から使っている本店のワールで精機オーブンと比べて、焼き上がりに今ひとつ問題があった。古く、温度調整もうまく出来ない本店の30年ものオーブン。しかし、立派なパンが焼けるのは、炉床が石で出来ているという理由があった。この間焼成実験して、本店30年ものオーブンに負ける新規オーブンに、言ってはいなかったが、どれだけショックを受けていたか。Infoにアップする気力さえもなかったのが本音。

立派な新車一台と同様なオーブンの価格を考えると、購入した新車がポンコツで使えないとなると、どれほどショックを受けるか想像に難くないはず。若干そんな気分で、しかし、なんとか使えるようにしなくてはと、色々設備屋さんとも相談し・・・。しかし、石床に変えるとなるとまた相当額な出費だとのこと。も~イヤ!どこかに石床売ってないかな~!探しても出てこない。設備屋の話では、現在ある合成炉床をはがし、うすい鉄床を張り、その上に石床を張るというめんどくさい工程とのこと。ぁ~イヤ。

色々調べているうちに、ふと考えが浮かんだ。そういえば知り合いがピザ釜作るって言ってたよな。そのピザとかに使う石床をオーブンに使えないだろうか?

一つ方向性が決まると、私は早い。調べると色々あることが分かり、最終はデロンギのピザストーンが安価で耐久性もあるとのこと。 やるっきゃない。

いつもながら、簡単な設計図を作る。厚さが10ミリ。この厚さだと、現在の炉床に置く形で問題もなさそう。薄いので、石やブロックをカットするグラインダーで切れるだろう。オーブンの炉床に敷き詰めれば、重いのでずれることもないのでは。

定型260ミリ×240ミリの6枚ほどをカットする。わりと簡単。そして敷き詰めてみた。

お~!!うまくいったぞ!大袈裟だが、根本的な変革という意味でリノベーションと言わせてもらおう。この間の長いお休みを使って、準備。そして、本日実験だあ!!

本日作るバゲット6本のうち2本だけ第2工房の新規オーブンで試焼。

入れたぞ~!うわ~、ドッキドキだあ!5分経過!

そして、焼き上がる。本店の30年ものオーブンとの比較!

なんと~!!!全く遜色ない!!!側面など、新規オーブンの方がよくやけているし、正確な温度設定が出来るので、上部の焼き色、焦げ具合など細かに調整できる。問題の釜伸び(ふわっと感)も、おんなじ!!!右の2本が新規オーブンのもの。

新車が手に入ったぞ~!!!みたいな気分。良かった!使えるぞ~!!日本中のパン屋さんにお知らせしたい。安く良い釜が手に入るぞと。