「奇跡」の小麦収穫

もう半ば諦めていた。日曜日から雨だとすれば、5日も雨に当たり穂発芽で全てがおしまいになるかも・・・。11月からつぎ込んできた小麦栽培への努力と時間があだ花と化す。しかたないよな。じいさんが亡くなり、コンバインを動かすこともできず、そして天候がこんなことになれば。

ふと見ると、ヤフー天気では日曜日「晴れのち曇り」となっている。諦めかけていた収穫への思いがまた頭をもたげてきた。日曜日の朝、決意する。「とにかくやれるだけやってみよう!」そして、湯布院の農家さんに電話をかける。「今日の夕方、もしかしたら小麦を持って行くので、乾燥機の準備をお願いします。」

これがじいさんの残したコンバイン、クボタ「SR-J1」。一度試乗してみたものの果たしてYouTubeだけのにわか勉強で乗りこなせられるか。雑草だらけの小麦畑で。

刈っていくとピーピーの警告音が鳴り響く。機械が止まる。小麦がつまる。掃除しても何度も繰り返す。どうなってるのだ。コンバインの構造もよくわからんし。あの手この手で試してみるがなかなかだ。しかし少しずつ構造が分かってくるものだ。「機械が教えてくれちょる。」じいさんの言葉を思い出す。

それにしても遅々として進まぬ収穫作業。2時間くらいやっているとあのアスキュー先生が現れる。APUの教授。塚原の農民。そして困った人のお助け人。コンバインの操作方法を教えてほしいと以前頼んでいたのだが、たまたまこんな時に現れてくれたとは。天の助け、仏のお導きか。

アスーキューさんは私が分からなかった構造や操作方法を教えてくれた。な~るほど、そうか~!そして作業を継続。はるかに効率よく進められる!有り難う、アスキュー先生!

コンバインを操作する私。ちょっと信じられないショット。しかし現実に小麦は収穫されている。

我ながらすごい集中力。じいさんの魂がのりうつったかのよう。6時間の作業もあっという間だった。

心配だった収量も・・・・

去年同様30キロ×6袋。

6時半頃湯布院に持って行くが、農家の小山さんはまだ田植え作業。そして30分後にいよいよ「乾燥機投入の儀」。

やはり相当湿っぽい状況。27%ほどの湿り気。じいさんの教えでは、「収穫したあと袋に入れたまま放置するとすぐに芽がでてくるぞ!」とのこと。普通、天気の良い日に収穫し、その後ブルーシートで天日干しするそうだ。その後乾燥機へが常道。それを聞いていたから、とにかく収穫したその日に乾燥機に入れなければ、今までの全ての努力がおじゃんになる。小山さんが小麦を入れてくれているそのシーンに、(全てが終わったなあ)と緊張がゆるみ力が抜けるような気がした。乾燥度数は12%でお願いした。やく10日ほどかかるという。

奇跡のような一日だった。やればできるもんだなあ。しかし、そのお膳立ては、周りの人が用意してくれたからだ。機械、じいさん、息子さん、アスキューさん、小山さん・・・まだ気がついていないお助けの人もいるだろうが(おっと、従業員さんを忘れていた。私を自由にしてくれているのは従業員さん、ママがいるからだ)。

帰リ道。湯布院から塚原へのちょうど峠の場所。落ち着いた夕空。慌ただしかった一日の終わりがこんなに静かに平穏にくれていく。諦めなくて良かった。

コンバイン試乗 追悼 園田のじいさん

小麦畑の地主さんである「園田のじいさん」が亡くなられた。失礼な呼び方ではあるが、親しみを込めた以前からの呼び方であり、あえて「じいさん」と書かせてもらう。、オニパンの小麦畑は以前メガソーラーの建設予定地だった。契約した園田のじいさんは私たちの反対運動をずいぶん腹立たしい思いで見ていたに違いない。建設が頓挫した広大な敷地を私たちと交友のあったじいさんの奥さんが「責任取って借りてくれ」と言いに来た。そこからオニパンの小麦作りがスタートした。

ワケも分からず小麦作りを始めたわけだが、その働きぶりを見ていたじいさんは私の努力を見過ごしてはいなかった。「ようがんばりよる」と評価し、こっそりコンバインを購入していた。あとで知ったのだが、合同新聞に書かれていた(自家栽培小麦の記事を掲載してくれた)。じいさんは口は悪いが、とても他人思いの優しい人だった。播種機を貸してくれたり芋の苗を分けてくれた。そして小麦が育った時じいさんは収穫してくれた。

この写真は初めての小麦の収穫時のもの。とても貴重な一枚だと今になって思う。じいさんは毎年芋の苗をくれた。昨年は、だまって店の前に置いていた。じいさんは耳が悪く人と話すのが苦手な人だった。しかしいつも人のために行為してくれていた。

調子が悪いのは知っていたが、そこまで深刻だったとは。今年になって芋の苗が例年になく不作で手に入らない(じいさんからもらうもの以外に安納芋だとかの苗をコメリで購入していた)。しかし、じいさんが持ってきてくれるのではと思っていた。入院していたとは知らなかった。

オニパンに突然じいさんが現れた。3月のこと。鹿肉をたくさん持ってきてくれた。そんなところがあるじいさん。それが6月の初めに亡くなられた。お参りに行ったとき息子さんたちも消沈していた。ブドウの作業をしているときも力が入らず、ペースが上がらないともらしていた。息子さんはここ数年オニパンの小麦を収穫してくれているのだが、「今年は収穫する元気が出ない。ぶどう園も忙しいし。オニパンさんが自分で収穫してほしい。」と言う。

コンバインを貸してくれるとのこと。土地の造成工事のためにユンボを貸してくれた。それで、毎週ユンボに乗っている。やっとユンボが操縦できるようになった。そして、次はコンバイン。ユンボは以前乗ったことが少しあるのでやる気になったが・・・コンバインは全く初めてだ。気が重い。しかし乗らざるをえないのか・・・。

収穫直前の現在、時間がない!昨日コンバインに初試乗した。その前日、またYouTubeでお勉強。

夕方暗くなりかけの頃、コンバインを動かした。なんとか動かせる。そのときじいさんの声が聞こえてきた。

「機械が教えてくれるちゃ」

私が初めてトラクターに乗ったときじいさんに乗り方を尋ねたことがあった。そのときじいさんが言った言葉だ。

不安で何ごとも誰かに尋ね教えてもらわないと出来ないと思っている都会のぼっちゃんである私に言った言葉だ。じいさんは教えてもらうこともなく全てを自分でやってきた。そうせざるをえない状況だったのだろう。生きるために。そんなじいさんは誰かに甘えることなどするわけもない。むずかしい機械の操縦も、自分の力だけでやってきた。そんなじいさんの言葉だったのだ。何か目頭が熱くなる。

今年は自分で小麦の収穫をするぞ!「機械がおしえてくれるちゃ」

小麦畑の雑草取り

昨日は老体にむち打ち、小麦畑の雑草取りをしました。

雨が降るたびに大きく育つ雑草たち。コンバインで小麦を刈り取るのに、邪魔になるのは目に見えて明らか。もっと、前もって手を打てばいいのに、ここまでしっかり雑草たちを育ててやってることに、我ながらあきれる。そして、1時間半くらい格闘。これも、今までのことを考えれば良いのに・・・・結果どうなるのかと。

腰が・・・腰が・・・足も・・・!!(泣)

少しはきれいになっている小麦畑。しかし、腰が・・・。

その後どうなったのか。昨夜(早朝)足がつる。病院でつるのを抑える薬をもらってきて、昨夜も飲んだのにもかかわらず、労働が酷すぎたのか効き目がなかった。それで、睡眠不足に。現在も腰が痛くて・・・・。

憶えておこう、これをやっちゃあいけないことを。雑草取りは早めに機械を使って(中耕機)取るということ。もう無理なのだ。若くはないのだから(あたりまえだろ)。

土木作業前進

毎週のお休みの恒例事業。ユンボの操縦。今回からマサ君が主役。私は草刈りが主役。マサ君は勘が良い。一人で黙々と作業。私が草刈りから土木作業場へ戻ってくると、かなり平べったくなっている!

以前の写真を見ると

こんな状態。この写真の前は全体が藪で立っているマサ君が見えるような状況ではなかった。今見えている木を切り倒し根っこを掘り起こし・・・

こういう作業を続けて今回のような状況になったわけで。すごいですねユンボの力は。そしてマサ君の上達も。

この休み、私は自転車にも乗りましたよ。今週は足腰大丈夫でしょう。

日々味見、日々進化をめざし №200

味見の大切さ。これは、やらないと分からないものです。特に、生地の仕込み方を変えたり、材料を変えたり、焼き方を変えたりしたときは必ずせねばならない行事と捉えています。まあこんなものだろうと気を抜く時思いがけない失敗をくらいます。味見をした結果、この間の変化・進化をご報告致します。

菓子パンの生地にも種類があります。もちっとした生地が合う菓子パンもあれば、リッチなふわっとした食感や味がピタッとくる菓子パンもあります。たくさんの生地があればそれは理想的ではあるのですが、粉の種類やその他の材料を変えてミキサーで捏ねるのは手間がかかり時間もかかるわけです。生地の仕込みはとても時間がかかってきます。だから、設備やスタッフの規模で可能な種類を追求します。そんなわけで、最近、ナッツレーズンやフルーツミックスなどを大幅に生地の仕込み方を変えて見ました。

2週間ほど味見もせずに、以前よりおいしくなっていると思い込んでいたのですが、移動販売のお昼ご飯でちょっと味見をしました。すると・・・なんと、なんと、・・・・!!フルーツミックスもナッツレーズンも以前よりもおいしくなくなっているww!

それで、あわてて、翌日からの生地の仕込み方を元に戻しました。この2週間ほどで、フルーツミックスやナッツレーズン、メロンパン、ミルククリームなどを買われた方には大変申し訳ないことをしたと反省しているところです。

味見せずに過ごしていたら・・・と思うと、怖くなってきます。もっと早くするべきだったと大反省。

いちごホイップ。冷やすとこれからの時期おいしいと思います。

他の例としては、いちごホイップがあります。これは、生地の問題ではありません。生地はもちっとして面白い生地。私が思ったのは、ホイップに対していちごの甘さが足りないなあということでした。工藤農園で仕入れたいちごをコンポートジャムにして入れていますが、原価率として10㌘までが限度と計算。初め味見したときはこれでいけると思っていましたが、最近味見をして、なんか物足りない!それで、一昨日より15㌘に増量。だからといってお値段は上げにくいのですが、食べて満足できなければ、作る意味もないわけで。一昨日よりいちごホイップも進化しました。毎日同じものを食べている方なら、その変化・進化に気づくと思います。

オニパンではこういうことを頻繁にやっています。作り方や材料など、どんどん変わりゆく日々なのです。だから、スタッフも大変だと思います。私自身も自分で指示しながら、言ったことを忘れていて、スタッフから注意されることもあります。4人で作っていますが、変えたことを確認しながら、或いは紙に書き出しながら製造を行っています。