三平君には友だちはいない。生きていくためだけに、自分を守り、本能を強め、争いながら暮らしてきた。オニパンにやってきて、まず出会った同族の犬、こうちゃんに喧嘩を吹っ掛けた。こうちゃんの大の仲良しだった鶏のともちゃん、マリちゃんをかみ殺した。そして、先輩の猫、ルー君レイ君を見つけると激しく吠えたてた。
三平は荒れた暮らしから、徐々に身を立て直した。毎朝夜明け方、悲しい震えるような鳴き声(夢でもみているのか)もしなくなった。朝日を浴びて、座っている後ろ姿に凛としたものを感じるようになった。
前向きに生きる姿は実にいい。猫たちも心を許すようになってきた。臆病なルーと最近偉そうなレイの喧嘩。三平は心配して、喧嘩をやめるようにとでも言ってるのか、吠える。二人の喧嘩がやんで、少しほっとしたようなルー君はそのあと窓越しに三平に向って鳴き声をだす。「ありがとう」と言ってるんだね。
黙ってみている三平。尻尾は絶えず揺れていた。
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