曇り 少し活気が出てきたかなと思うと、北九州にクラスター発生。やはりそう甘いものではないのですね。東九州自動車道で1時間余りの北九州に感染が広がると、由布院も大変なことになる。移動自粛が長引けば、どうなることだろう。

 フェイスブックで「七日間ブックカバーチャレンジ」という取り組みをよく見かける。ステイホームの中、本屋さんを励ます企画だ。ルールがあって、自分で毎日本を読んで(今までに読んだ本をしょうかいするだけでもいいそうだが)、バトンを渡すそうだ。そうして読者を広げていくわけだ。私は、最近(特にパン屋になって)あまり本を読まない。余裕がない。しかしこのままではボケがそう遅くない時期に訪れるだろうなという兆しを感じてきた。そんな折、お客様が、私にバトンを渡したいと申し出が。断ったが、その翌週のお休みに本屋に出かけた。そして以前より気になっていた作家の本を購入。そして、ひそかに読み始めた。

平野啓一郎の「マチネの終わりに」という長編の小説。読み進めにつれぐいぐい引き込まれていった。普通、途中で疲れ休憩したくなる私だが、この小説は先のことが気になり、時間を惜しんで読み続けた。主人公二人の人生が、自分の中で高まり、他人事でない一週間となった。これほど考え、鼓動が高鳴ったことは、本の世界ではあまりなかった。割り切れない人生、つらい過去も、一つだに無駄ではなかったと思え、矛盾を抱えながらも生き生きと生きていける、そんな希望が湧いてくる。読み終えたその夜、そして翌朝も二人のことを考えた。