晴れ 10周年を機にいろいろと試してきたことが最近実を結んできました。国産小麦を主にパン作りをしていますが、この国産小麦の扱い方がかなりわかってきました。オニパンでは、4種類の国産小麦を使っています。

 食パンを作る場合、外国産の小麦に比べ水の割合はかなり減らします。そうしないとミキシングでグルテンを形成できません。銀河のちからはグルテンが強いのですが、吸水率は悪く水が多いとうまくいきません。そして、この間気が付いたことは、発酵は若めで成形に入るということです。外麦と同じ感覚でやっていると、過発酵になっていて、荒く粗雑な生地にやきあがります。早めに成形することでしっとりと柔らかい生地になります。

 バゲットの場合も同様なことが言えます。国産のハース粉(ハード系を作る粉という意味)は、だれやすい。だれるというのは、柔らかくてまとまりにくいという意味です。成形してパンマットに置いても、姿がプリッと体を持ち上げた感じではなく、デレっとした姿だと焼く前から焼成後の姿が見えてきます。一次発酵は抑え目で、ベンチタイムも短め。成形は、生地がプリッと張るようにやっていく。そして二次発酵を終えて窯入れの際、バゲットの表面を乾かし、クープナイフで皮を削ぐようにクープを入れる。私は、表面を乾かすために、小さなサーキュレーターを購入し、五分くらい風を当て表面を乾かしている。そこまでやるかっていうぐらい、いろいろと考えてやってます。フランスパンの場合、繊細で、かなり細かな時間設定をやっています。

国産小麦はグルテンが弱くやりづらい。しかし、扱い方がうまくいけば、外麦よりも繊細な生地やうま味も出せるのではないかと最近思えるようになってきました。以前は、そんな風には考えず、外麦よりもレベルが下だと思いこんでました。私が修行に行ったあこ庵ではパン作りに国産小麦を使うことは「剣道着を着てテニスをやるようなもの」といわれてました。

新しい品種が出てきたこともありますが、扱い方にも一工夫必要だったのです。オニパンの食パンは開店以来のオニ食(カナダ産小麦)と国産小麦食パンがあります。今までは、オニ食がうまいとおススメしていましたが、今はどちらもおいしいですと胸を張って言えます。食べ比べてみてください。「国産やるな!」って思うはずです。