本格的にパンに関わりだして、10年が過ぎました。やっと10年です。まだ駆け出しですね。パン屋になろうと思ってパンを意識的に作り出してからは23年が過ぎました。まあまあのキャリアか。(笑)オニパンカフェが開店して9年です。やっと、それらしいお店になってきたなと感じています。今までは、どうしても、何か大きな存在があり、その方にお伺いをたて、パン作りをしているような感じでした。どういえばいいかな、何か正解みたいなものがあり、それに自分のつくるものがあっているかなあ、みたいな。師匠の下で、間違ってないだろうかと不安になりながらやっているような。要するに、「自分のやり方」に自信が持ててない。それは、今でも自信があるわけではないのですが、ただ自分らしいやり方みたいなものがずいぶん確立されてきた。
オニパンらしさ。誰のものでもない自分らしさ。それは、一定の基礎が出来て初めて花開くものなのでしょう。土台がしっかりしてきて、その上にどんなものを創っていくか。今そんな時期にさしかかっているようです。
何事も新しいものに挑戦するとき、不安や戸惑いがつきものです。しかしそれは同時に広い世界を垣間見せてくれます。同じことばかりしていても、世界は広がりません。私にとって、オニパンにとって、5月の国産小麦導入は、そういう意味で新しい世界をもたらしてくれました。以前も玄米生地(2種の国産小麦や玄米粉)では随分と悩まされました。今回の新しく導入した国産小麦は3種、以前のものを入れると5種になります。それぞれに個性があります。味や質感、粘り等々から、発酵の状況。対象の個性が違うものに、機械的に同じ対応をしていては、上手に育てることはできません。人や動物、植物と同様です。パンも生き物なんですから。以前から使っている外麦も3種あります。それぞれの粉の特質を見極め、その粉に応じた対応をしていくという、何とも繊細な作業に目を向け意識が向きだしたこと、これがオニパンの新しいステージといえます。
もう一つ9周年として特筆すべきこと。それは何と言っても、パン小麦の収穫。自家製手作りを目指すというコンセプトを明確にして、あたらしいリーフレットを作ったのが昨年でした。オニパンカフェの特長は「自家製・手作り」この打ち出しで、できる限り自家製を貫こうと、小麦作りに挑戦しました。これによっても、新しい世界を知ることが出来ました。小麦がどのように成長していくのか。小麦の栽培の難しさ。収穫してからもいろいろと手間がかかること等々。
1昨年の小麦栽培は2か月ほどで失敗でした。鹿たちが一晩で食べつくしてしまいました。そして2度目の挑戦は、鉄柵作りからスタート。
耕し 種まき(11月8日)
種まき後2週間。麦踏(一冬3回) その後追肥など2回。赤カビ病予防の薬剤散布。その他もろもろ。
開花は5月7日。そんなに雨に降られず、奇跡的な結実。そして6月19日、園田爺さんがボランティアで収穫してくれました。
即日天日干し。
それからずっと家の2階で扇風機をかけっぱなし。2週間。
園田爺さんが貸してくれた電動唐箕で第一段階の選別。 さらに私の考えたミキサーを使っての籾摺り。そして、もう一度電動唐箕で選別。結構大変な作業が続きました。
そして、ついに。
120キロのパン小麦が。これを製粉所に持って行って製粉してもらいます。
この小麦の品種は、岩手県産「銀河のちから」と「ゆきちから」2種。ちょうど半々で収穫しています。2種がブレンドされた小麦は、これだけで、食パンがつくれます。銀河のちからは超強力小麦、そしてゆきちからを半分入れることで、うまく膨れるはずです。この小麦がうまく育っていればの話ですが。たんぱく量が左右します。早くつくってみたい!小麦の名前は、私に命名権があります。小麦名は「塚原のゆめ」といたします。さて、どんな食パンが出来るのか。夢は広がります。
実り多き、夢の広がる9周年となりました。
9周年の祝賀会。塩手さんはお休みでした。9周年を迎えられたのは、スタッフの皆さんのおかげです。それと、たくさんのサポーターさん、暖かなお客様のおかげです。体に気を付けながら、10周年を迎えたい。いつもありがとうございます。
営業時間 11:30〜16:00
定休日 火・水・木(※木は予約販売受取のみ)
(※祝祭日は営業します)