網リンゴの件

人それぞれ嗜好は違うもの。当たり前の話だが、パン屋をやっているとその言葉を実感として感じる場面は多い。

晩秋から春にかけて、デニッシュ系で人気なのがリンゴ関連のデニッシュ。リンゴを使ったデニッシュには、りんパイ・芋りんパイ・アップルシナモン・網リンゴと4種類ある。それぞれ美味しいのだが、私は(網リンゴはいずれメニューから外れるなぁ)と思っていた。一つは作るのに経費がかかる、そしてそれほど美味しいと思えない、さらに時々残る。

りんパイやアップルシナモンは多分誰が食べてもおいしいと思えるのでは。しかし網リンゴはな~。

昨日別府店店長。お店に着くと、常連のお客様が「網リンゴ二つとっといて!私用事で後で来るから。」別府には二つしか網リンゴを持ってきてない。木曜日はお客様も少ないし。まあいいか。

そして開店。しばらくして、写真家のHさんが来る。仕事の頭休めに、甘いもの特にデニッシュを買いに来る。今日も早い。彼は「網リンゴないんですか?」と聞く。「ぁ~売れてしまいました!」と私。すると彼は「タイミング悪いなあ。前回もだめだったなあ。」「そんなに網リンゴいいですか?」「いやあ、最高やね。」みたいなやりとり。

芸術家のHさんは、やはり味覚嗅覚が違うのかなあ。芸術家のHさんがそこまで惚れる網リンゴ。ちょっと私も見方を変えた方が良いのか。

そして今朝。Hさんから電話。「網リンゴとっといてもらえますかあ」

ホント好きなんだあ。