オニ食

オニパンに白黒という名前の菓子パンがある。ちょっと変わった名前で「意味不明」な感じだが、それなりの命名のいわれはある。ほとんどのパンの名前は使っている原材料をわかるように付けられている。「クランベリーチーズ」「ナッツレーズン」のように。そんなのばかりじゃユメがないと最近は「ベリーツの春」のような詩的な名前も考え出した。しかし「白黒」とは。なんじゃ?

オニパンがスタートして6年を過ぎた辺りの夏(思えば8年前か)サイクリストがちらほらやってくるようになった。その中に、熱量の高い方がいて、もう毎日のようにやってくる。そして片っ端から並んでいるパンを食べ、いろいろと評価をしてくる。その方はたくさんの友人サイクリストがいて、オニパンの広告塔みたいなこともやってくれる。そのうち、手が付けられないくらいにサイクリストのたまり場となっていった。まあ決してご迷惑と言っているわけではない。ただ、その熱量に圧倒される日々だった。

場末の片田舎の小さなパン屋に、その方はいろんなアドバイスをしてくれた。私は、なるほどと感心することも多くあり、そのアドバイスをいろいろと取り入れた。例えば、サイクリストの好きなコーラを常備するとか。そしてパンにまで提案してくる。「マスター、餡子とクリームチーズの取り合わせはいいと思うよ。ぜひ作ってみて!」

話しは長くなった。それから試作に次ぐ試作で生まれたのが「白黒」というパン。「白黒」という名前に合わせて、一方に白い粉をふり、別の方に黒いごまを無理矢理ふっている。原材料から名前を付けるのではなく、名前からそれらしくパンを見せかけている。全く逆方向。無理強いの命名だなあ。

やっと結論。「白黒」とはそのサイクリストのブログ「道楽日記」のハンドルネーム。私としては、珍しく、敬意の代償としてその名を付けたというわけです。

やっと今回のタイトル名「オニ食」にたどり着けそうです。最近、「道楽日記」を見てると、オニ食のことが書かれてました。このInfoにいろいろとパンのことを書きますが、ほぼ菓子パンやフランスパンのことが多い。でもうちのパン屋の主役はなんといっても「食パン」なのです。店名を付けるほどのパン。あれれ、書きながら今気がついた!白黒だけじゃなかった!!オニ食もそうだ!!!そのオニ食をとても評価している記事を読んで、今回のInfoは「オニ食」を書こうと思ったわけです。ぁ~話しが周りくどい。「道楽日記」転載します。白黒さん勝手にですが、許してくださいね。