毎日毎日が試される 「今日の課題」

パン屋は日々同じことの繰り返し?ルーチン的な仕事と思われる方も多いかと。創造性のある仕事、例えば研究職とか芸術系とか・・・・あげたら切りがないだろうけれど。一方で同じようにこなさなければならない職種もある。違うことをやれば品質に問題が生じる、そんな仕事もある。パン屋は創造的な側面が強い。というのは、相手にしている生地が生き物であるから。毎日、違った顔で現れる。その表情をどう読むかが、パン職人の力量になる。例えば今朝のパンたち。昨日とは違った顔をしている。或いは昨日と同じ顔のものもいる。この子たちにどう接したか、具体的にお話しします。

オニ食パンの件

オニ食の生地の扱い方を時々間違うことがある。30度くらいの温度帯で一次発酵させると、ふわっと膨らみ分割作業の見極めもわかりやすい。しかし、長時間発酵させているオニパンの温度帯は最近で18度くらい。表面だけ見ると気泡が出ていたりべたっとしていたりで、一次発酵が終わっているように見える。そのあたりの見極めがむずかしくて、曖昧であったりして、昨日は失敗。失敗といっても酷いわけではない。90%の出来。残念だけれど、もちろん商品として販売する。

今朝は昨日と同じ顔のオニ食パンの生地。これは、まだまだ若いのだ。と言うことで分割後のベンチタイムを2倍とった。すると・・・・その後の発酵も順調で、昨日より立派なオニ食に成長。

メロンパンの件

OBSの移動販売に毎回現れるディレクターのお客様。その方はメロンパンが大好きな人。いつもメロンパンの話で盛り上がる。おいしいと言ってくれるのだけれど、私としては「いまいち」だと思っている。メロンパンの大きさがいまいち。詳しく言うと「高さ」が出てない。これは、発酵力が弱い「老いた」生地だからだ。今のオニパンの製造方法は菓子パンの生地は、前日に分割し丸め、そのまま冷蔵庫に入れて翌朝冷蔵庫からだして温め、成形すると言った方法をとっている(パン全体の製造量が多いので、当日に分割・丸めを出来ない状況)。これも、30度で一次発酵をとった場合はわかりやすいのだけれど、冷蔵庫というきびしい環境からだした子どもたちの表情は本当に何を考えているのか分からない。そんな子どもたちのアフターケアをし、状況を見極めながら、2次発酵させていく。

しっかり一次発酵が終了している状況で成形すれば立派なメロンパンになれる(もちろん焼きも大事だが)。今朝の場合、いつもより早めに成形をした。すると・・・・やはり予想どおりだった。高さが出た!

今日のメロンパン。上出来です。うわべだけでは分からないその子の内面をどうつかむか(要するに酵母の活動状況)がパン職人の技量。

バゲットの件

バゲットはむずかしいなあ、と言うことは散々言っていますが。生地の発酵に関しても繊細であるが故に慎重に慎重を重ねる必要性あり。今朝の課題は「クープ」でした。自分もへたなのだけれど、マサ君の入れるクープもちょっと気になっていた。クープナイフの軌跡。斜め過ぎてもクープの開き方が変になるし。それで今日は少し変更してみた。

開いた部分の形が変化!いろいろなクープの形があるので「これだ!」というのはないのだろうけれど、私はこんなバゲットが好きだ。