人生無駄なことはない! №142

気が付けばひと月半の時が過ぎていた。このひと月半今後を左右する大きなエポックがあった。それをご報告しよう。
以前折々帳にも書いたことがあった、オニパン前の広大な土地のメガソーラー建設計画の顛末。
メガソーラー建設は、住民の強い反対とそれを支援してくれた多くの塚原ファンのおかげでストップすることができた。こちら側(私の側)から見れば、それは良かったのだが、地主さん側から見れば不都合なことも多いわけで。しかもその地主さんは以前よりうちと親しくしていた方だった。
その後しばらくは、ちょっと気まずい雰囲気もあったが、そのうち自然と打ち解けて、お話しする関係は戻ってきた。
地主のおばさんは、以前2度ほど入院され、私とママはそのたびにお見舞いも行ったりする関係でもあった。メガソーラーで利害が対立したものの、それを乗り越えて、また話せる関係になったのは、おばさんの心の広さでもあるだろう。しかし、広大な土地の今後の活用で、地主さんは頭を抱え込んでいた。4000坪以上ある畑は、手を掛ける余力もなく、徐々に山と化してくる。
おばさんは、結構、口が悪い(失礼)。はっきり言いすぎるきらいがある。しかし言いたくもなるだろう。それは分かる。
「あんたらが反対してソーラーができんかったかわりに、あんたらには草刈りをしてもらわなな。」とお店に言いに来る。近頃は、「誰か、農業する人はおらんのか。」と口にする。
私も何度かそれを聞いていて、この際話にのろうと思いだした。

人生はどこでどうなるかわからない。これからもどうなっていくのかわからない。
はたしてそうなのか。
私が感じるに、今やっていることは、必ず将来の何かの役に立つということ。
それが、この年になって、(そういえば、あの時あれやっていて良かったなあ)などと思うことがしばしばだ。

昔41~2歳のころだったっけ、小学校の教員をしていた私は、パンを作っちゃあ職場に持って行って、同僚に、あるいは子どもの誕生日などにプレゼントしていた。
総合学習っていうのが注目されていて、その実践の中に、パン小麦をつくるってのがあった。
「これはすごい!」と思い、自分で作った小麦でパンが焼けたらいいなあと試してみた。
当時の学校は、結構広い学級園があり、地域の百姓さんが寄付してくれた耕運機もあった。
私は、その耕耘機が使いたくて、一人でほかの学年の畑も耕した。
そして、北海道の農業試験場と連絡を取り、特別に「はるゆたか」という品種の種を分けていただいた。
春まき小麦だ。4月にまいて夏に刈り取る。
新学期にちょうど良い。
当時の私は、ただただ、意欲ばかりで、やる気があれば何とかなるみたいなところもあった。
何も研究せず、ただ種をまき、芽が出るのを待った。
しかしなかなか芽が出てこない。
結局芽は出なかった。水?蒔き方?
違うんです、それはカラスや雀のせいだった。
やけにスズメが多いなあと思ったのは、小麦の種を目当てにやってきていたからだ。。
学校も変わり、50才になった私。パン熱はさらにヒートアップ。もう一度、春まき小麦に挑戦する。その時は、育つのは育ったが、残念ながら実がほとんどついてない状況。

そんなこと、今の今まで忘れていた。そういえば、昔、パン小麦をつくろうとしてたっけ。
忙しいから、できないって決めてしまえば、できなかったという現実が残るだけ。しかし、少しでも可能性があるんなら、やってしまえば、やったという現実が現れる。
人生いろいろあった方がいいだろう。
そんな吹っ切り方で、メガソーラー建設予定地だった土地を借りることにした。

さあ大変だぞい。これだけ広い土地。どうしよう。そこで考えたのが、他人の力を借りること。
無料で何かをつくってもらおう。果樹もOKだ。この場所を利用することで、仲も深まる。
名前はSONODA FRIEND FARM(そのだ なかよし 農園)としようか。
もう一歩進んで、SONODA HAPPY FARM(そのだ しあわせ 農園)の方がいいか。

 

畑として使える広さは100m×150m。4000坪はある。

今度は以前のような失敗は出来ない。金もかかる。
パン小麦は、冷涼な気候に向いている。暑い大阪よりも、この冷たい塚原の方がはるかに向いている。宇佐などで作られている「ミナミノカオリ」という品種よりもできれば、北海道で作られている「キタノカオリ」のほうがいいなあ。うまいし。
まあ、今は夢見ている状況だが、由布市の農業指導員さんとも相談しながら、つくっていくことになったし、「量はともかくできるのはできます!」と言っていただいた。

そして、以前使ったことがあった耕運機よりもはるかに強力なトラクターも知り合いが貸してくれることになった。

すごいねえ、何か小さな戦車みたいだ。
今日試運転した。

塚原高原にメガソーラーは似合わない!と盛んに運動した結末は、「しあわせ農園」に。

ちょっと(かなり?)大変になるだろうが、これは、これで、良かった!と思う私。