これは何でしょう?№105 

これは何でしょう?

アルバイトで来ている方が、「マスター、箪笥がありますね。」と言いました。なんでパン工房に箪笥を置くの?いくら私が物好きだとしても。

これこそは、世界広しといっても、オニパンにしかない、優れ物の什器。

狭い工房の中で、いかに合理的に効率良く作業を進めるかを私はいつも考えています。
そんな中で生まれた作品。
すでに2年以上オニパンを手伝ってくれている家具職人の上田さんに相談して、つくっていただいたのがこの什器なのです。

世界に一つしかないこれに、名前をつけようとしましたが、これがまた難しい。
使用法を数えたら、なんと6通りはあるんですからねえ。その中の一つだけを取り出して、名前をつけたら、他の使い方のお方がお怒りになるかもしんない。

これが生まれる前に使用していたものは、大阪から連れてきた、我が家のテレビ台でした。


これは、大阪時代にテレビ台として18年そして塚原にやってきて、パン屋で4年と3カ月使用されてきたものです。
廃物利用が好きな私は、このテレビ台を天パン入れとして転用したのです。上のテレビが載っていた上部は作業台として使い、随分作業に貢献してくれました。しかしここ最近は、パイプが劣化してきて、針金などで補強するものの、ぐらぐらしたりで、ちょっと危険状態に。新しく天パン入れをつくるなら、使い勝手の良い、しかも一生使える優れモノにしたいと考えました。
その時浮かんできたのが、上田さんのお顔でした。
そうだ、彼なら、いいものをつくってくれるに違いない!そして、私の考えを伝え、二人で相談しました。

こうして生まれた逸品が上の写真の什器です。

さてこの什器を詳しく説明したいと思います。

初めの写真にある木製のカバーをとると、右のようにステンレスの面台が出てきます。
この上で、パン作りの作業ができるようにしました。


さて、次に正面カバー(ひき扉)を開けると、
このように天パンが収納できます。
とても頑丈にできています。


天パン収納の上部は引き出しです。左に見えている番重が2段重ねで入ります。結構な収納力です。


引き出しの裏側の様子です。
これは何?
ちょっと正解を思いつくのは難しいでしょうね。
いつも作業をしているものでしか、考え付かないアイデア機能です。


これがあるのとないのでは、作業性が大きく変わります。答えはごみ入れ。

もうたまらなく便利です。
作業台にはキャスターが付いていて、どこにでも移動できます。このごみ入れがあれば、どこで作業していても、ポイポイごみを捨てられます。


私のパン工房は、自分なりに使い勝手のいいように工夫されています。一つ一つに思い入れがあるものです。その中でも、この什器は特別に優れもの。本当に仕事がやりやすくなりました。
見た目も美しい!
家具職人としての誠実な仕事ぶりが随所に見え隠れしています。
相手のことを思いやってする仕事は、きちんとした作品を生み出すんだなあ。

上田さんありがとうね!