パン屋の休日~山が呼んでる №95

若いころ(といっても40歳ごろ)、山が好きになった。
もっと若いころは、暗くて湿っぽいところが好きだった。例えば、漫画喫茶。
深夜映画。別府には、飲んだり食べたりしながら観れる深夜映画館があった。
暗い場所で、たばこをふかしたり、漫画や映画を見るのが一番の好みであった。
そんな私が、しんどい思いをして、汗を流し、ただ黙々と山を登ることへ関心が向きだしたのは、人生のつまづき期とでもいおうか、厄年という節目に、直面したからだった。
NHKの「プロフェッショナル」という番組を見ていると、どんな達人でも、必ず悩み、自信をなくす時があるようだ。さすれば、我々凡人においては、悩みはつきものといえる。
そんな悩みをどう乗り越えるか。私の場合、嫁さん(すなわちママ)が当時、相当深刻に悩んでいて、もう一家の危機みたいな状況だった。「山へ行くと、何かしらすっきりするぞ」との友人のアドバイスもあり、家族全員で山へ行こうということになった。
どうせ行くなら・・・思い切って、北アルプスへ! 山小屋に二泊して、燕岳(つばくろだけ)、常念岳などを縦走した。その時、初めて、山の力、素晴らしさを味わった。常念岳の頂上から見た、山々のその圧倒的な美しさは、いまだに忘れられない。
山に登る。自然の中で汗し、ただただ黙々と歩き登り、景色を仰ぎ、かわいい山野草と出会う。
心の中にある大きな重たい悩みは、小さく軽くなる。ふっと、悩みを見失っている。あれっ忘れるほどの悩みって・・・。ものの見方考え方で、悩みは大きくもなり小さくもなる。状況は変わってないのに。

それから、山が病みつきになった。毎週のように行った時期もあった。バイクに乗って、神戸あたりの六甲山は、良く行った。関西の山の本を買い、片っぱしから登った。夏の伊吹山など、頂上にあるお店の生ビールが楽しみで、何度も登った。

パン屋になって、あまり山に行ってなかった。由布岳に3度。あと鶴見岳。久住山。普段は運動のために、サイクリングか、軽いジョギング。ママはプールに毎週のように行っている。
しかし、先週より、ちょっと変化が起きている。

突然ママが「山に行こう」と、山の本を買ってきた。
そういえば、最近山のことをわすれていたなあ。
「大分100名山」っていうものがあるそうだ。その中に立石山という山があった。その山はなんと、我がオニパンカフェから、100メートルほど北に行くと、登山口があるとのこと。
立石山は知っていたが、意識して登ってみようと思ったことはない。ネットで調べると、ちゃんと頂上には札(あれってなんて言うのかなあ)もあるようだ。1070メートルなんだから、立派な山だ。
それで、先週は下調べで、途中まで登った(時間がなかったからだ)。
そして、昨日、12の月の女将と一緒に、立石山登山を決行した。(ここから登山記録だ)


12時55分ごろ。お店を出発する。
元気で嬉しそうな二人。天気も上々。
ああ、春が来たなあ。

ここがが立石山登山口。だってさ。
いつも、コウちゃんの散歩で来ているわけで。
知らなかったなあ。
二人の先に見えている山が、目指す立石山。

1時5分ごろ。道の左には、牧草地が開けて います。  その向こうに座するは、由布岳。そし て、その右の低い  山が、飛び岳。


登山道は、いつの間にやら、牧草地の広い道に変わる。
ここで、1時20分ぐらいか。


そしてさらに進むと、また狭い道に。
ここからしばらく、舗装された道になる。
この辺りから、鹿さんが良く出没するようにな る。私は、コウちゃんの散歩で、時々鹿とであ った。お昼なのに、道端でゆったりやっていて 、私と目があって、慌てて逃げ出す奴もいた。

細い道を進んでいくと、広い広い牧草地に出る。なんと眺めが良いことか。上には、立石山、
下を見やれば、ムケンヤマのドテッとしたナマズのような胴体が見える。

下の写真はパノラマ写真。中心の山が立石山。真ん中にある二つの影が、ママと女将。

牧草地の中には、このような、牛の水飲み場の跡がある。以前は、この広い牧草地に、牛がのんびりと暮してたんだろう。塚原牧場は、とても広かったんだな。

広い牧草地を上まで上がりきると、いよいよ立石山へ取りつくことになる。ここからが、道が急になって来る。さて、このお二人どこまでがんばれるだろう。
多分1時40分ごろ。

こんな杉ヒノキ林の中を登っていく。およそ1時間くらいのぼりが続く。だんだん、二人の息が荒くなってきた。

  休憩。女将の方は、もう駄目のようだ。
ママは、若いころ、フルマラソンを完走したこともある体力がある(当時は細かったけど)。それで、ママだけついてくることに。

ヒノキ林の中の道は途中分からなくなった。そこで、上へあがっていくと、尾根道に出る。もう頂上が近いようだ。

 ここは本当の頂上ではなく、1054メートルの三角点。でも見晴らしもまあまあで、登山グループの記念看板(あれってなんて言うのかなあ)も貼ってあるので、「一応登頂」ということで記念写真を。次回は本当の頂上へ(この先10分ほどみたい)行くぞ。

下山は道を変えた。すると、なかなかいい道に出会った。尾根伝いに、あの牧草地まで続いていた。次回はこの道を登ろう。枝打ちをしていない立派な木々が、深遠な雰囲気をつくる。
こんな空間も立石山にある。
ほぼ3時間ほどで全行程を終える。なんせ、登山口まで我が家から2分っていうのがいい。
久しぶりの山行き。良かったあ!

さあ、100名山を目指すぞ。