ママの足腰

年相応と言えばそうなのかもしれない。気がつけばママも今年の誕生日で古希なのだ。人それぞれなのだが、ママの場合、股関節が生まれつきよろしくなかったようだ。女性に多いそうだ。今までバリバリと働き、40代50代と一緒によく山にも行った。ママはタフで、6時間7時間歩いても平気だった。フルマラソンにもエントリーし、5時間で完走した。体力だけは自信があったようだ。しかし現在は結構大変だ。

これがママの家での出で立ち。山でもないのに、ストック。それも常時使うと言うことで、腰に紐付きで。これだと楽なのだそうだ。ママは料理で忙しい。家のお食事だけでなく、スタッフの賄いづくりにも忙しい。料理するシーンといえば。

こんな感じ。立ってできない。こんな状況なので、販売でレジを長時間すると、夜に大変なことになる。毎日夜はリハビリの体操をやっている。大変なのだが、天性の楽天家なのか、本人はそれほど気にしていない。山に行けなくなっても「今までいっぱい行ったから、もういいんよ。」。

少し重たいものでも運べない。だから、うちの家にはキャスターだらけ。椅子も手作りでキャスターを付けた。薪を運ぶ(家の中で)ものや、出来た料理をのせる台車など。

軽度の障害者なのだな。無理が出来なくなった。その分、私の方に全てがかかってくる。ちょっとなにかを運ぶことから犬の散歩、お店のレジ打ち・・・。

私自身、町中で歩く足の不自由な方たちを見る目も変わってきた。妙に親近感を持つようになった。今までと違い(荷物持つのも辛くないかな)(痛くないだろうか)(家での生活も大変やろうなあ)(家まで帰るのに時間もかかるやろうなあ)

当事者意識というか本当に違ってくるものなのだ。本人が経験したこととしてないこと、大きな違いなのだなあ。

ここから私の今日のこと。

休みの日の運動の意識も変わりつつある。今までは自分の仕事の関係から、運動していないと足腰が痛くなり夜中に足がツルなどして辛いので運動せねばと言う感覚だった。しかし、近頃は少し違う。

冷えた鋭い大気の中を歩く。時間がないので、負荷をかけながらエコーラインを歩く。

由布岳東登山口まで黙々と35分。結構な登りなので体も汗ばむ。自分の足腰はまだしっかりしている。これだけの負荷にもどうってことはない。ありがたい。この体をなんとか維持していきたい。それは、家にとって欠かせない大切な要素。自分がだめになったら家はどうなるのだろうと考えるようになった。お店のこともあるが、それよりママとの家のこと。生活のこと。

仕事が優先され、これからも同じようにパンが生産されることが当たり前のように思い込んでいる日々。しかし本当にそうなのだろうか。持続可能を旗頭に、今まで働き方改革を口にしてきたけれど、今の状況はかなりきついものがあるように感じる。だから、もっと真剣に仕事の仕方を考えねばなあ。

舗装道路を歩くウォーキングから少し登山道に入ってみた。静かな木々の間を柔らかな陽光が差し込んでいる。心がやさしくさすられるようで、以前ママと歩いた道が懐かしく温かく迎えてくれる。やはり山はいいなあ。