ああ久住高原!畜産農家を訪ねて

 前回の続き。

久住に行ったのは、チヨウさんの家へ荷物を運ぶためと今一つは話題の畜産農家の実態を見学するためだった。チヨウさんが塚原に現れ、そのお世話をするなかで知り合った行政や畜産関係の方を通じて、初めて大分県の畜産農家について話を聞く機会に遭遇。大分県の肉牛市場や畜産農家の話は、興味をそそるものがある。チヨウさんは、竹田市の地域おこし協力隊に就職することになった。その仕事内容は、畜産農家のヘルパーだ。畜産農家は、牛のお世話で、1年365日、家を離れることはできない。仕事を休むこともできない。しかもほとんどの農家が高齢化で状況はより深刻。そこで考え出されたのが、ヘルパー制度。ヘルパー組合に参加し一定の費用を支払うことで、ヘルパーさんをお願いできることに。月に何回かお休みを取り、お茶をしたり小旅行へ行ったりできるようになった。竹田市は北海道に学び、日本でも先進的なヘルパー制度を作り出している。その組合長が前回紹介した植木さんだ。植木さんから資料もいただき、少し勉強させてもらった。ヘルパー制度は実にいい制度だ。なぜこんなことに気が付かなかったのだろう。国にとって大切な農業を守り発展させていくために、働きやすい労働条件は必須の問題なはずだ。朝から晩まで拘束され、それが一年中となったら、だれもあとを継ごうなんて思わない。情熱のみに頼る精神主義では発展できるはずはない。そして、もう一つ大事なことは、儲かるということ。生活ができる儲けが出ないことには、人も集まらない。

現在肉牛の市場は右肩上がりだそうだ。世界的に日本の牛肉は評価が高く、知っての通り、国内でも牛肉は高価なものとなっている。そして、最近も新聞報道されたが、豊後牛のブランド化が進んで、人気も出ている。子牛の場合買取価格は一頭80万から100万くらいの値がつくという。将来性のある仕事となっている。

 

 「100頭牛舎」という呼び方で、100頭が畜産農家の一つの目安みたいになっている。これが普通で、大きなところでは500頭とか。これらの写真は子牛さんたち。思ったのは、とてもかわいく人なつっこい。ストレスなく、かわいがられて育てられているんだ。だから、目が優しい。写真からもわかるように、フンもなく牛舎がきれい。世話が行き届いている。当然なのかくさい匂いがない。

 すごいなあと思ったことがあった。それがこの写真。これは、子牛たちが、ご飯を食べている場所。子牛が近づくと、自動的にえさが出る。食べすぎないのかなと思った。ところが、そうはならないように工夫がされている。子牛の首輪には、それぞれの個体のデーターが登録されてあり、それぞれに食べる量がコンピューターでコントロールされるようになっているというのだ。

 

子牛たちの餌場の裏側はこのような機械が備え付けてある。一日のえさの量が決まっていて、それぞれの子牛が今どれだけ餌を食べているか計算され、一日量まで来ると出ないことになる。なんとも合理的な仕組みだ。食べすぎることもないし、逆に食べる量が少ない子牛もチェックできる。こんな優れた機械・設備があったのだ。かなり前から導入しているという。さらに驚いたのは、畜産農家への支援・補助体制。この機械購入するのに300万円かかるらしいが、9割補助で自分で出したのは30万円だったそうだ。畜産農家は国からも期待されている分野だそうで、補助支援体制も充実しているとのこと。パン屋などは全く期待されてもなく、すべて個人の資金。(笑)

地域おこし協力隊での仕事は、月15日(一日7.5時間)働いて給料は16万8千円。住む家も補償してくれます。3年間の任期。条件は相当いいが、大切なのは姿勢や情熱、将来の目標。きつくてもねばりづよくがんばれないと続かない。

国の将来を見据えて、どこに税金をつぎ込み、事業や研究を進めていくか。心配な事象があちらこちらで散見されるが、畜産農家の分野ではぜひがんばってほしいと思う。チヨウさんや植木さんのおかげで、いろいろと社会勉強をさせていただいた。ありがとうございます。