晴れ なんといい気持ちの朝でしょう。それは、個人的な感想ですが。といのは、昨日オーブンの故障からスタートした一日でしたが、一日終われば、なんと素敵な一日だったことか。その余韻が残る朝なのです。

 このオーブンの一番上の段が故障。今までもいろいろあったオーブン。故障だけでなく、売り飛ばしてその後また買い戻したり。2段から3段に改造したり(もちろんこれは購入先の会社が)。自分でもいろいろと修理しました。だから、愛着も湧いています。たまたまオニパンに来たオーブン。ですが、すぐれもの。上下に石床を敷き詰めています。だから、ふわーっと優しく生地が膨らみます。スチームも付いていますから、ハード系でも大丈夫。会社はワールド精機。どうもキューハン(同じくオーブンなどをつくっている会社)から分かれて独自に会社を立ち上げたようです。ワールド精機には何度か電話もして、部品を取り寄せたりしたこともありました。キューハンという会社は、あこ庵の社長から推薦された立派なオーブンを作る会社で使うならキューハンのオーブンがいいと言われていましたが、なんせブランドで立派でお値段も高く・・・ちょっと手が出せなかったのが実情でした。たまたまの出会いでキューハンにも負けないパンを焼き上げるワールド精機のオーブンに(キューハンを使っていたあこ庵のパンと比べて、オニパンのパンは負けていないので)いつしか尊敬の念を持つようになっていました。

 この部品がオーブンの点火と炎維持の仕事をしてくれます。2本でセット。ワールド精機にしかない(特許をとっているのでしょう)わけで、福岡から取り寄せていては、2~3日パンが焼けなくなってしまうわけで。仲介の取次店にいうと、明日くらいには部品があるかかどうかわかるみたいな返事なので・・・。そんな悠長な・・・。オーブンが使えなかったら、卸も含めてどれだけご迷惑がかかるか・・・。現場との意識のずれを感じますねえ。ええい、行っちゃえ~と久留米まで行くことにしました。木曜日で別府店もないし何とかなる。あったとしても、明日、明後日のことを考えると行った方がいいと。

久留米を過ぎて広川というインターで下りました。そこから、ナビが狂っているんじゃないかという不安な道を30分くらいぐるぐると。すると、たどり着きました、憧れのワールド精機に。目を疑いました。イメージした本社・工場との落差。えー、間違ってないかなあと。

 

 文字が一部薄れた、汚そうな看板。事務所もプレハブをちょっと上等にしたような建物。事務所に入ると田舎のおばちゃん風な(失礼!)方が3人。男の方が2名。でもオニパン様と部品を準備してくれていました。こちらとしては、立派な展示場があって、中古も含めていろいろなオーブンが見れるなあと楽しみにして来ていたのでアレレという感じ。中古のものは置いていないとのこと。部品の取り付け方は、いま工場の人たちが昼休みで後から連絡しますと言ってくれました。

確かに、後から詳しく説明の電話がありました。親切です!そして、とりつけ、点火。うまく火がつくではありませんか。日常当たり前にできていたことができなくなったとき、その有難さを思い知らされます。火がつくことの嬉しさをこれほど感じたことは今までありませんでした。それと、ワールド精機のこと、後になって考えると、思い当たることがありました。最近あのキューハンが倒産したというニュースを知りました。あれだけのオーブンをつくる会社が。中古市場に押され売り上げが伸びなかったようです。キューハンの営業員が2度ほどうちにも来てくれて、親しくなりました。あの人はどうしてるんだろうと心配になります。ワールド精機はまるで「下町ロケット」「陸王」のような会社なのだと感じました。小さくても、優れた製品をつくり、こんなにまで私に愛されているのですから。特許をとった部品を供給できなくなったら、修理に困ります。キューハンを使っている知り合いのパン屋さんから、困ったという話を聞きました。ワールド精機さん体裁や見てくれはいいので、しっかりいい製品をつくって、会社を維持していってくださいよ、従業員さんのためにも、パン屋さんのためにも。今日のオーブンで焼いたオニパンたち。立派です!!

  

 あれが本社で、東京・大阪・名古屋に営業所を持っている!ワールド精機すごい!