収穫。新たな始まり。 №182

DSCN4822[1]多くの偶然、暖かなサポート、そして見果てぬ夢か。いろんな要素がうまくミキシングされて、パン小麦の収穫へと導いてくれた。3度目の正直なのだろうと、昨年に引き続く失敗を覚悟していただけに、いまだに信じられない感情が体に走る。スタートは昨年の10月8日。10アールの畑に、牛糞をトラック1杯入れ耕すところから始まった。PKセーブ422を35㎏追加。そして、11月8日播種。「銀河のちから」と「ゆきちから」の2種類の小麦の種をまく。

11月15日発芽。そして、昨日6月19日刈り入れ。その間、いろいろとお世話してきたが、農業者からもよく育っているとお褒めの言葉もいただいた。宇佐の農林水産試験場の方の指導もいただきながら、ここまでたどり着いた。いちばんありがたいのは、なんといっても、「ソノダハッピーファーム」の地主さん、園田さんの援助だ。言葉少ない園田さんは、私の麦への愛情も天候への心配も読みとっていったのだろう、昨日朝から収穫を始めた。「収穫を始めた!」という情報が入り、パン作りを従業員さんに頼んで、あわてて畑に直行。園田さんは、黙々とコンバインを動かしていた。

DSCN4821[1] DSCN4827[1] DSCN4830[1] 私は、麦刈りのために、バインダーという機械を買っていたが、バインダーの動かし方もよくわかっていないし、園田さんが以前より手伝ってくれそうなことを言っていたので、頼り切っていた。そのコンバインを初めて見たが、すごいと思った。速い!そして実のみを選別し袋に入れていく。バインダーだと穂の丈の部分も一緒で、収穫後「せんばこき」で実を落とさねばならない。作業が大変になる。コンバインは30分程度で、作業を終了させた。爺さん(園田さんのことをそういっている)は、無口だが、本当に親切だ。このコンバインは最近購入したものだが、いつも、ハッピーファームの隣の爺さんの畑のハウスにおいている。コメを作っているわけでもなく・・・。もしかすると、私の麦のために買っているのではないのか。そう思えてくる。それ以外に考えられない。よくわからない謎のコンバインだが、はっきりしていることは、園田の爺さんがいなかったら、刈り入れはできないということだ。ありがとうございます。爺さん。

DSCN4829[1]爺さんは袋もちゃんと用意。こんな袋が5袋になった。一袋の重さは30キロはあった。収穫は約150キロか。爺さんは、ようとれたと褒めてくれた。パン小麦はいつ収穫するかのタイミングがむずかしい。3日前まで、実がまだ柔らかかった。ろうそくのロウぐらいの感じになるときが、タイミングだという。うまく、好天が続き、グングン固まってきた。そして、この日となった。天の味方!梅雨入りだというのに、まさに奇跡みたいだ。雨にあたると、熟した実が、発芽して、それによって成分が劣化する。「穂発芽」だ。ささらに、赤カビ病になるという。そのカビ毒は人体に悪い。赤カビ病にならないための、薬は散布しているが、それでも、病気になりやすいという。だから、この日の収穫は、本当に、ありがたい話だった。しかし、これですべてうまくいくというわけではない。次に問題となるのは、収穫後の実の乾燥。袋のまま一晩放置すると、蒸れてダメになる。だから、本来は乾燥機に入れなければならない。しかし爺さんの話では、この量だと乾燥機にいれて乾燥させることができないという。この2倍の収穫がないと、乾燥機がうまく動かないというのだ。だとすればどうすればいいのか。昔の人は、梅雨の晴れ間に、天日干ししたとのこと。ええっ、そんなことできるのか。これから一週間雨が続くのに。とにかく、すぐに乾燥させねばと、仕事そっちのけで(従業員さんのおかげ、そして、お客の少ない月曜日のおかげ、奇跡は続くみたいなかんじ)、昼前に天日干しスタート。何と良い天気なのか。暑い!

DSCN4838[1] 夕方まで、1時間おきに撹拌。中は少し湿った感じだ。そして、夜になる前に、家のガレージに移動。扇風機を一晩中かけておいた。

DSCN4840[1] これが、今日の朝。しかし、昼前には曇って、さらに雨が降りそうな雰囲気だ。私はあわてて、コメリでイグサのござを買ってきた。そして、自宅のあまり使わない2階の部屋にござを敷き、ここで乾燥させることにした。1週間もすれば、多分乾燥するだろう。

DSCN4844[1]あと製粉。これも、地元塚原の農業者の方から、庄内の製粉所を紹介していただくことになっている。何をするのも、いろんな方のお助けがなければ、前に進まない。

うまく、パン小麦が製粉できれば・・・夢が広がる。塚原の土と水と空気で育ったパン小麦を使って作る食パン。名前は「塚原高原食パン」だ。由布市では、パン小麦がつくられてない。岩手県産のしかも未来を拓く「銀河のちから」が収穫できるということになれば、ちょっとしたニュースだ。塚原高原が注目を集めるお助けにもなる。

日々の努力や創意工夫が豊かな暮らしにつながるような、そんな仕事をしていきたい。パン屋であることが喜びとなれるような、自信をもっておすすめできるような、そんな仕事であればなあと常々思っている。

そんな仕事への夢をいだいて、新たな始まりだ。