読書(聴書) 平場の月

本日は小説の話。若い頃、年寄りになったらどんな風な感性になるのだろう、例えば恋愛についてとか。人を愛する感情は若い頃と違うのだろうなあ、あるいは年を取ると恋愛感情そのものがなくなるのかなあ・・・。とか思ってた。

仕事に追われ、暮らしに追われ、経営の厳しさに戸惑い、将来について不安に思う古希を過ぎた男。しっとりとした、潤いのある感性が干からびては、美味しいパンやお客様とのかみ合う感性を作ることも出来なくなるのでは。最近、市民劇場に通う余裕もなく、文学芸術から足を遠ざけてきた。

ところがそんな忙しい人のために、とてもありがたいサブスクが出来た。以前にも紹介したオーディオブックだ。私はこれを使って読書(聴書)をしている。最近読んだ本で「平場(ひらば)の月」というのがある。「世界の中心で愛を叫ぶ」の中高年板みたいな内容。昨日、三平を散歩させながら、読了。つい長くなった散歩。寂しくて、悲しくて、うつむきながら散歩を終えた。今も余韻が残っている。なんで、なんで、そうなる・・・。つらいよなあ・・・でも、素敵な人だ。人生うまくいかないよなあ。貧しくても、健気に律儀に人らしく生きてるよなあ。もう少し、楽しい時間があったらよかったのに。でも倖せだよなあ。いろいろと私の心の中で独り言が渦巻く。

作者は女性だった。朝倉かすみさん。男性だったら、こんな女性(ヒロイン)は描けなかったかなあ。堺雅人と井川遙が主役。良い配役だと思う。この二人が主役だと知って、読んでいるときも場面を想像しやすかった。11月映画公開。