東京 本郷3丁目 すずのきベーカリー

昨日は驚きました。ほんとびっくりの再会。東京から「すずのきベーカリー」のオーナーシェフが見えられました。奥様ご同伴で。どういうお方かというと、私がパン屋を目指して東京で修行をしたときの同僚なのです。その修行時代のことは、10年以上前に「折々帳」でも書きました。50過ぎの輩が、若い者に交じって、失敗を繰り返す。当然厳しい目が注がれる。その先頭に立っていたのが、そのお方。あまりの言い方に、研修生の身でありながら、それ以上に言い返した私。年甲斐もない私、未熟な私。やややや鬱状態で2~3週間ほど大阪へ戻り、再度あこ庵に戻り修行を続け、なんとか7ヶ月の修行を乗り越えられたという体験。正直に申しますと、「すずのきベーカリー」のオーナーシェフをこの世最大の天敵とまで思っていた当時の私。

しかし彼は違っていた。東京の中心部でここ10年パン屋を続け、奮闘してきた。朝の1時から夕方6時まで。一人で!多分同じように腹立たしく思っていた私のことをそのままにしておくのではなく、オニパンの折々帳をずっと読んでいたようだ。メガソーラーに反対してきたことや湯布院パン屋さん連合のことまで知っていた。自家栽培小麦のことも。あこ庵当時のことをわびながら、私のことを褒め讃える。

一生懸命働く人は、その仕事の大変さを体でしっかりわかっている。それがあるから、同じように真面目に働いている他人の苦労や思いも伝わってくるのだろう。その時、感情(憎さなど)を越えて、相手のことを冷静に評価できるのかもしれない。彼の場合は、わざわざ天敵であるはずの私に湯布院まで会いに来たこと、なんともすごい行動力だと思う。彼のことを勘違いし続けてきた私の浅さ、よくわかったし、嬉しかった。