主(ぬし)てき存在になったリーちゃん

リーちゃんが我が家に来たのは確か11月の終わりだった。
オニパンのカスタードの材料となる卵を分けていただいてる湯布院の河野養鶏さん、そのオッチャン(じっちゃん)に選んでいただいた。
そのリアル場面は、実に面白い状況だった。
河野養鶏さんの裏の畑にたむろする数匹のネコ軍団。オッチャンが餌をあげている地域猫。
その中から一匹つまみ上げたのがりーちゃんだった。
「この子は、いい性格しているメスじゃ」


もらわれてきたばっかしのリーちゃんの姿。
11月20日撮影。目がきつい。まだちっちゃい。
リリーと命名。白百合のようだと。
その後、動物病院でオスと判明。
リーと改名。

長く生きれんじゃろう。動物病院の先生はそうおっしゃった。確かに。
なんかヨワッチイ。餌もあんまし食べん。
3度ほどほかの地域猫とケンカした。ひどい目にあった。
一番ひどいときは、私たちも、リーはあの世へ行ったのかと思ったほどだ。
追われるリーは、必死で家の中に逃げ込んだのだろう。しかしその地域猫は容赦なく家の中まで入ってきて、リーをぶちのめした。リーは恐怖のあまり、あちらこちらにウンチを塗りつけていた。そして、床には点々と血が落ちている。

この顛末は、以前、折々帳で書いたので省略する。
ウイルス性の白血病になっているリーちゃん。余命半年。
こんな診断がされている彼だが、ほんまだろうか。

最近たくましくなってきた。体重は4キロを突破。
動きがいい!虫やトカゲ、小鳥まで捕まえ餌にしている。

右は6月29日撮影。約2か月前。
ずいぶんたくましくなってるでしょう。
もう家の中では怖いものなしの状況になっている。

よくマンマも食べる。
私もママも一日真剣働いてるわけで、コーちゃんにしても、家を守るためにセコム的な働きを日々続けて9年近くになる。
リーの働き方は、何なのか。

それで考え付いたのが、接客という仕事。
リーの良さは人好きなこと。
河野養鶏のオッチャンの折り紙つき。
それと犬と同様、名前を呼ぶと、どこにいても「ニャー!」と駆け寄ってくる。

お客さんの多い土曜日や日曜日は、朝からお店の前に出てきて営業が始まる。
「おう、リーよ、働かにゃ、飯が食えんぜよ。」
ホンマ、そんな感じで頑張って働いてくれる。
今では、オニパンの看板猫になってきたからすごいものだ。

リーを飼いだした当初、最も心配だったこと、それはコリーのコーちゃんとの関係。
初めの2カ月くらい、顔を合わさないように配慮していた。
夜、コーちゃんはリビングのゲージで寝る。それまでは外のハウス。
夜になってリビングに入ってきたとき、リーとはちあわせになると、大変なことになるのではと思った。先ずリーをママの趣味室へ入れて戸を閉め、それからコーちゃんをリビングへ入れる。夜、ママは趣味室に入れない。
しかしいづれは二人が仲良くなってもらわないとこちらの生活も大変だ。

コーちゃんは優しいので、多分リーをかんだりしないだろう。しかしリーの方がコーちゃんに慣れてくれるのか、そちらの方が心配だった。
初めての夜は案の定だった。コーちゃんは、物珍しそうにしながらも、リーに好意を示す。一方リーは、全身の毛を逆立てて、興奮。巨大な生き物が突然目前に現れたその恐怖は、多分に想像できる。リーちゃんの試練だ。

2週間くらい毛を逆立てていただろうか。そのうち、この巨大生物が、危害を加えないことがわかってくると、身構えて入ってくるのを待つようになる。
そして、ゲージに入ってしまったコーちゃんに、外からちょっかいを掛けるようになる。

猫はしたたかで順応力がある。犬のような気遣いなどノミほどにも持ってない。自分より弱いとわかると、馬鹿にする。腹が減ったら、甘えてくる。弱弱しい声で気を引いたり、あの手この手で自分の要求を通そうとする。人間であれば、まったく許されない、いやらしい人格。人の道に外れたやつだ。

リーも例外ではない。5月くらいになるとコーちゃんに猫パンチを繰り出すようになる。はじめは後ろからこそっとやっていた。それが6月には、なんと正面からパンチを出して逃げていく。
悪い奴だ。

リーは、コーちゃんを敵だと思っているわけではない。コーちゃんもリーのことを、そしてリーもコーちゃんのことを家族の一員として認めているようだ。
現在は、夜、4名でリビングに居ることが当たり前となった。そして、以前ほど騒々しい状況ではない。家族になれたのだと実感している今日この頃なのだ。

左の写真は、今日の朝の一コマ。
コーちゃんがマンマを食べていると、リーがやってきて、コースケのトレイのドッグフードを一緒に食べようとする。
コースケは怒ることもしない。

食事の後、リーはコーちゃんの前でくつろぐ。
まるで兄弟みたいな関係なのだ。

ひと月前ごろより、コーちゃんの散歩にリーが付いてくる。

リーはコーちゃんを獲物のとして想定しているのか、身構えて、狙ってくる。
ある時は後ろから、そして正面から猫パンチを浴びせてくるときもある。
もうコーちゃんなど目ではない感じ。
ついに我が家の主(ぬし)の位置を手に入れたようだ。


( 前方よりコースケを襲うリー。
コーちゃんは、いつも上手にリーの襲撃をかわす。一度も怒ったことがないコーちゃん。)