ハード系 発酵の件

パン製造の大切な要件、発酵。これが一番大事なこと。発酵が命。発酵を見極めて適切な時期に適切な対応をすると、驚くほどに反応・結果が変わる。これはかねがね人間の成長と同じなんだと考えてきた。

菓子パンは栄養豊かで(砂糖、卵、油脂等)酵母も安定して活動できる。言わば、家庭環境が整った、衣食住に不自由しない、恵まれた人間と言える。当たり前のように元気に活動し、生地は膨らみ、耐性も強く、元気に成長する。

しかしハード系と呼ばれるパンたちは、名前の通りハードな生活をしている人間と同様。恵まれた食事がとれず、育つためのわずかな栄養と自然の温度や湿度を考えながら細々と成長する。何せ養分(糖分)は、小麦の中に含まれた損傷デンプンという細胞が潰れた中から漏れ出した糖分を頼りに、酵母が活動する。タイミングを見誤ると、大きく膨らまないし、色づきも悪くなる。

繊細な援助、発達の節目を見逃さない働きかけ(分割や成形)が求められる。生地の状態を見て、その後の発酵の時間、その際の温度や湿度がとても大事になる。

昨日のハード系は今ひとつだった。発酵の見極めが間違っていた。何が間違っていたのかを考え、今日の生地に挑む。

カンパーニュのプレーン。今日はうまくいった!

美味しそうに焼けた本日のバゲット。この生地も、判断がうまくいってこの結果に。昨日と同じような判断で行けば、このようにはならなかった。あぶないあぶない。