パン屋をやっていると時々理科室で実験を重ねる研究生になったような気になる。私は子どもの頃から、理科が好きだった。間違って文系に進んでしまったが。高校生の時、自分を変えていかないと生き残れそうにないと悩み苦しんだ。ほとんど病的に。大学に行くのだったら、自分の苦手なことを学ぶ方がいいのではと、進路を決めた。高校時代一番好きな学科は生物だった。のに。
パン屋はほぼ毎日、理化学の実験の積み重ねといえる。発酵自体は生物学。温度、湿度、ガス量、焼き色、成分の効能・・・。焼き色はどうすれば良いか等は、単に燃焼温度だけの問題ではなく、生地に含まれる成分によって変化するわけで、メイラード反応やキャラメル化反応などの違いもあり、むずかしい所です。生地の扱い方も、伸ばしたり丸めたりすることで、パン生地がなめらかになったり、大きく膨れるようになったりで、それにもちゃんとした理由があります。
現在読んでいる本は、私の科学的嗜好を刺激してくれます。

この本の中に「科学とは仮説を立て、検証し、真理に限りなく近づく学問」とあります。「全てを疑え」という弁証法的唯物論の言葉がありますが、「これはこうなんだ」と言い切ってしまうことは科学的ではありません。吉森先生(この本の著者。彼はノーベル賞を受賞した大隅教授との共同研究者)は、全てのことが、「今のところ」の真理だと言われている。
パン作りの中で、どうしてこうなったのか(よく失敗するので)を考える場合、先ず仮説を立て、それを検証するために、どう実験すれば良いかを繰り返す。
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