「お焼き」レギュラー昇格

煮え切らなかった「お焼き」のポジション。以前、鳴り物入りでオニパンの陳列棚に登場したものの、振るわず、リピーターもつかず。マスターのしつこい味見にしっかり応えることも出来ず、ついに棚から姿を消した。

問題は生地にあった。米粉を湯種にしてもちっと感を狙ったものの、口の中でダマっぽくなる。口溶けが悪い。フィリングの豚野菜のバルサミコ煮はおいしいのに、生地が今ひとつ。マスターは自分が気に入らないアイテムはたとえ少数のファンがいても出す気にはなれない。それで、2軍落ちとなった。

これは、以前の「お焼き」の画像。おいしそうだが・・・・。

フィリングのバルサミコ煮がおいしいので、マスターは妥協して「ポークまん」という商品を出すことに。これは生食パンの生地を使い、普通に焼いて商品とした。今ひとつなのは分かっていたが、まだ口溶けは良い生地だったから。

なんとかせねばと言う日が悶々と続く。そしてマスターは立ち上がった。このままではバルサミコ煮に対して申し訳ない。ママが一生懸命考えて作ってくれた大事な作品。これを生かさねば。

生地をもう一度米粉湯種にもどした。とにかくお焼きに似合う「白焼き」でさらに米油で焦げ色にする方法は今まで通りに。油で焼くと見た目も味もランクアップするしな。一番の問題「口溶けの悪さ」改善のために、焼成時間をできる限り長くすることに。色がつく前に厚めの紙を上にかぶせさらに時間を稼ぐ。これをあこ酵母の社長は「神(紙)わざ」と読んでいる。こうしてできる限り生焼け状態を脱する。

こうして「お焼き」は最近またベンチに入った。

今朝、スタッフの川野さんがこんなことを口にした。

「マスター、昨日塚原でお焼きを買ったお客様が、すごくおいしかったのでまた別府店に買いに来たって言ってましたよ。」

ええっ!お焼きすごいじゃないか!その味が、人一人の行動を変え時間とエネルギーを使わせている。脳みそを一時的に支配している。前々回のミルククリームと本質的に同じことだ(Infoを読んでくれれば分かります)。

お焼きはもう以前の「お焼き」ではない。弱点を克服し、レギュラーの座を確定したといえる。ちょっとしたことではあるが、焼き方一つで変わるものだなあ。