パンのおいしさを決める要素。っていうのは何だろう。誰もが考えることは「うまみ」「味」。私もそう思ってきた。しかし、10数年前(パン屋を始める前)に通った日本パン技術研究所での講義の中でこんなことが言われていた。
「パンのおいしさを決める要素として味や食感がある。味でおいしいと思う人は2割。食感でおいしいと思う人は8割。」
え~!!!
これは衝撃的だった。はたしてこの数字は正しいのかどうかわからないが、しかし一定の真理がありそう。私はパンを作るとき「食感」を常に考える。当日食べるとおいしいのに、翌日はパサパサで全く別物に変身するパンがある。オニパンは全く食品添加物を入れない。あっさり、シンプル。粉と塩と酵母と水だけのパンもある。だから、そんなパンは日持ちしない。
また小麦のグルテン量や質によって、ふわっとふくれたり、ずしっと重かったりもする。パン屋をするまではこの小麦の違いがあまりわかっていなかった。しかし、最近はほとほとこの小麦の違いに喜んだり泣かされたりしている。
新年度より取り入れている「湯種生地」は、生地の食感にあたらしいステージをもたらしてくれた。カレーパン、クリームパン、桜あんパン、ドライトマトパンに使っている。最新作のドライトマトパンは湯種生地に変えてまったく別物になった(以前は今ひとつ)。これはおいしい!私は感動している。
そして、小麦の組み合わせで苦労しているのがデニッシュ。全て国産小麦のパンにするというテーマで一番やっかいだったのがデニッシュ。今まで使ってきた外麦がとても優れていて、それに匹敵する国産小麦が見当たらない。昨年何度も何度も試作を繰り返し、失敗続き。しかし、たぶん、きっと、今日の試作で完成するのではと思っている。最近のInfoでうまくいったみたいなことを書いたが、そうでもなかった。まだ試作は続いている。これも、生地の膨らみ方による「食感」の問題。そして味もあるが。
小麦によって、微妙なうまみの違いがある。たとえ大きく膨れてくれたとしても、食感がよくても、味に満足できない場合もある。デニッシュはクロワッサンを食べるとよくわかる。今日の試作は3種類の国産小麦のブレンド。昼からその生地で清家さんがクロワッサンを作ってくれる。
神様~たのんま~~すぅ~~!!
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