倉木山

休みの火曜日と水曜日は充実しました。詳しくは触れませんが、火曜日の市民検診(由布市指定)に行ったあと、3年ぶりくらいになるだろうか、あの「グランマ」に寄りました。由布院の老舗パン屋さんです。訳あって、距離を置いていたのですが、ほとぼりもさめたかなと・・・(意味深ですね)。グランマのママさんは相変わらずの美しさ(元スッチー)で、バリバリ働いていました。ご主人のグランパも毎日体を鍛えていて、年の割に若い!わだかまりもなく、話が弾み、旧交を温めました。実は、3年前にけんか別れをしていたのです。人っておもしろい。腹の底ではお互いを認め合っていたのか。とっても気持ち爽やかになりました。

そして、翌水曜日、上田家具製作所社長と待ち合わせて、倉木山へ。倉木山は湯布院が抱える名山です。大分百名山、九州百名山にも入っている立派な山。私は今回が4度目。登りやすくて、湯布院盆地が見下ろせて、登山道もしっかりしていて、中高年にはうってつけの山かな。

しかし、今回は少し条件が悪かった。というのは、急激な気候の変化で寒い寒い!前日はポッカポッカしていたのに、水曜日はアラレ舞う天候。さらに、たよりのストックを忘れた~!!

けれど、優しい倉木山。私の足でも問題なく頂上まで導いてくれました。

さて今回、上田社長は密かに楽しみにしていた企画を携え、山行きに望んでいました。多くを語らない社長。いつも控えめ。しかし、いつも周到に準備をしていると言う人格。緻密さと丁寧さは家具職人としてうってつけといえる。彼のその企画とは、倉木山の頂上でラーメンを食しコーヒーを点てること。彼にとって今回の山行きの密かな楽しみ、否、最大の目当てだといっても過言ではなかった!・・・・と私は思うが。

頂上に到着するや何か落ち着きがなくそわそわした感じの社長。記念撮影を終えると、そそくさと携帯ガスコンロとカップ麺をザックから取り出す。私は頂上でラーメンを食べるという彼が前回の登山で口にしていたことを、ほとんど忘れていた。だから、ほんとうにもってきていたことには少し驚いた。

さみい~中、温かいラーメンが食える~!最高の贅沢ではないか!!いつもよりはるかにデカかった彼のザックの中には、このための準備物でいっぱいになっていたのだ。アラレが舞っている。さみ~!!

5分経った。まだかな~!?鍋の底にわずかな気泡が。しかし、わずかすぎる。8分経った。まだかなあ~?私は鍋の蓋に触れてみた。お~心地よい!!うっすらと暖かいぞ!・・・・・!!!なんでえ~!!

これってどう見てもぬるいお風呂だ。10分過ぎても変わらない。ガスが消えてるみたい。何度も着火を繰り返す社長。表情が曇っている。私は無理だと判断。それを社長に伝える。しかし社長は諦めない。そりゃあそうだろうな。これをするためにここまで来たんだから。寒い中、黙々と歩いて、けれど心の中は、温かいラーメンのことで、燃えていたんだろうなあ。それがこんなに簡単に諦められるわけはなかろうな。

彼は、なんと、ぬるいお湯をカップに注いだ!!ばかな、そんな馬鹿な。カレーとインスタントラーメンを何より愛する私としては、それはあり得ない行為。なんとしてもこのラーメンを食べようとしているのだな社長。そ、そこまで思い入れてきたのか。

そして、さらに10分ほどおいて、社長はそのラーメンを食べ出した。ほぐれていないメンを無理矢理かき回し、ばらしておいて口に入れる。もちろん生煮えだ。お腹を壊すぞと注意。しかし社長は食べ続ける。捨てたら?!と私。彼は、山が汚れると返す。そして、完食!!

すごいなあ。社長。いつも穏やかな彼が、こんなに意固地になる姿。いつも上品な彼がこんなにサバイバルになる様子。見たことなかった。なんかいじらしい感じも。もしかしたら、本当に山を汚したくなかったのかも。そんなところが彼らしいのかも。

追記:社長は帰宅して、厳寒の中のガスコンロの燃焼状態について研究し、自分の認識のいたらなさを報告するメールを送ってくれました。さすが研究者。次回はうまくいくでしょう。

帰りの由布岳。サイクリストがいつも立ち寄るポイントで。本当に最高の由布岳が見えますね。