予想以上の窯伸びを見せたチクゴイズミ。若干の感動をもって受け止めました。さて問題は、おいしいのか?食パンとしての評価は?それなりにいろいろな小麦で食パンを作ってきた経験から、多少なりとも評価眼は持っていると自負しています。ワクワクしながら、スライスしてみました。
我々パン職人にとって、食パンの断面をみるとき「すだち」に注目します。断面に現れたパンの気泡のことです。小さく、均一であれば「すだちが良い」といいます。しっとり柔らかくなります。発酵の状態が安定しています。チクゴイズミの食パンの断面は、あまり良いとはいいがたいなと思います。スーパーで見かける食パンの断面は荒いスポンジの穴のような場合もあります。それほどではありませんが、荒さはありますね。そして、側面の皮がせんべいのようにツルっとして、パリパリ。糊が乾いたような感じ。柔らかくありません。
これは、オニパンの国産小麦食パンの断面です。あまりうまくできたものではないのですが、表面はしっとりしていますし、側面の皮も柔らかです。上手に焼けた場合は、すだちが上に向かって流れるようになっていて、穴も均一です。パン生地の色は、チクゴイズミより白い。小麦の種類は「銀河の力」と「ミナミノカオリ」を半々にブレンド。
チクゴイズミの成分を調べてみると、たんぱく量が銀河の力と比べると少ない。いわゆる中力粉。軟質小麦です。パンに向いているのは握ったときもサラサラな(固まらない)硬質小麦。いわゆる強力粉。チクゴイズミの粉が茶色っぽいのは、製粉の仕方にもよりますが、灰分(かいぶん)というミネラルが多く含まれているからでしょう。灰分は栄養があるという見方もできますが、悪くすれば雑味として味を落とします。さらにチクゴイズミはでんぷん量も多いのかべたべたします。よく言えばモチモチ。しかしべったり感が多く、成型するときもしにくい。よって総合評価は、食パン向きではないかな。味は悪くはありませんが。やはり、うどん用なのですね。
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