山が呼んでいる。2度目の涌蓋山(わいたさん)へ!№144

久しぶりの折々帳。ここへ戻るとき、また気持ち新たにせねばと、パソコンに向き合います。塚原景観loveフェスに来て下さった、あるいは応援してくださった多くの皆さんに感謝します。
天候の悪い中でしたが、オニパンカフェとしても精一杯頑張りました。
イベントをやっていると思っていなかった方々も多かったようです。塚原の美しい自然や景観を大切にしていくために、ここに住む住民としても、地道に努力せねばと思っています。

この5か月近く、休み返上でイベント準備に走っていた反動もあり、無性に山に行きたくなった。何事もうまくいくわけではないのが人生であり、今回のイベントを通じても、得られるところ多大にして、また失うところもあったわけで、心の回復作業も含め、一人山に向かった。
いつもは、ママと一緒なのだが、一人で行くと思考も感性も鋭敏となり、感動も深くなると思ったからだ。ママの方から、「一人で行ったら。涌蓋山とかどう。」と提案があった。
私の気持ちを察しての暖かな言葉が嬉しかった。そして、涌蓋山。

涌蓋山は、高校生の時登ったことがある。まめな日記マンだったので、記録があった。
登山部で県の大会があり、3月24日から27日までの4日間大船山~平治岳~坊がつる~久住山~八丁原~一目山~涌蓋山と縦走した経験がある。
当時、なり手のない登山部のキャプテンに無理やり推薦され、廃部直前の登山部で練習もなしで県大会に出さされた思い出。優勝候補だと言われていた、日田林高のメンバーのたくましい体。私たちのひょろっとした体格。出場しているだけで恥ずかしかった。
5名のチームで対戦。登山の技術や体力、知識やマナーなど登山への総合的な力を競うといった競技だ。

今から44年前のことだが、明瞭に憶えている。全体はあやふやだが、3日目のこと。私たちはふらふらしながら歩いていたが、突然後ろで「バタッ!」という音が聞こえ振り返る。すると、N
君が気を失って倒れていた。その時点で、失格となる。翌日4日目、男子チームのコースは無理だと言われ、女子チームのコースへ。そのコースでも、後輩のS君の足がつり脱落。

その時の最後に登頂したのが涌蓋山。日記には、「常に緊張し、苦しく、しかし最後のワイタ山を登って、頂上で休憩したとき、僕はこれほどの充実感を味わったことがなかった」と記してある。


5月19日。その日は、最高にいい天気。
写真をアップするだけで、私の気分が推し量れよう。

長者原から筋湯温泉郷をへて、八丁原へ。
山々、緑、青空の美しさよ!


涌蓋山登山口へ到着!

「告!!」ってある。なになに、午後から入山して夜までに下山できずに遭難する事故が急増とのこと。
もしかして私のことかな。
ちょっとやばいが、急ぎ足で行けばなんとかなるかな。無理して頂上に行かずとも、3時過ぎで引き返そう。

この道からスタートだ。高校生の時もこの道からだったのだ。今日は時間の関係から一目山には上らず、直接涌蓋山を目指す。


 


涌蓋山手前のみそこぶし山。
ここを過ぎると、いよいよ涌蓋山だ。

おおお、見えてるぞワイタ山。

時間がもったいない!走れ!

その後、調子よく走る。すると、どんどん下っていく。あれえ!おかしい!20分ほど下って行きながら、そんな馬鹿な。

これじゃあ、涌蓋山が下にあるってこと。

なんで、道、間違えてるのかよ。

今来た道をまた20分!!
ぜ~ぜ~!!

戻ってきましたよ。この写真、右にわかりにくい表示板が。走っている私には全然見えなかった。ここを右に取付いて、頂上を目指すのだ。40分は損したあ!
大丈夫かなあ、時間。


こんな風に絶景が広がっているのです。
涌蓋山は富士山のような独立した美しい山。遠くからの山容も美しいし、涌蓋山自体からの眺望も最高だ。


そして、ついに頂上が見えてきた!!
美しすぎるぞ~!!
しかし、道は急だ。
前を見てるとつらいので、下を向いて歩く。まだ見ないぞ、まだ見ないぞと、どのあたりまで来ただろうと想像しながら、今は歯を食いしばって、少しずつ少しずつ足を進めるだけ。

人生でもこんな場面があるな。
ただ、モクモク、見えない先を見ず、苦しみを耐える時。
しかし、足を進めていれば、確実に前進している。


こんなにきれいな涌蓋山。登山口から、下山まで誰一人とも会わなかった。山を独り占め。
静かだ。したたり落ちる汗、踏みしめる地面の音、鳥のさえずり、まばゆい光とともに入ってくる、鮮やかでやさしい色彩。

自分の足で、登りたどり着くことができた涌蓋山の頂上。
なにかありがたい気持ちになった。

しばし、寝っころがって、休憩。

涌蓋山の頂上は広い。

遅い昼ごはん。おにぎりだけで十分満足だ。

下山。このまま、行けば、登山口に5時半着。良かった。何とかなったな。

ところが・・・・・。

どこでどう間違ったのか、道に迷ってしまった。

森の中で、夕日の明かりを頼りに、方角を考え「落ち着け落ち着け」と必死になる。

詳しい地図を持ってこなかった、しかも懐中電灯もない。軽装備の軽率な登山家の結末か。

遭難したら、ママにあるいはその他の人にも迷惑をかけるなあと、必死に道を探す。
喉が渇く!水もなくなった!!

結構近くで何かの放送音。民家に近い!! 暗い森の中の斜面を転がるように駆け降りる。
しばらく行くと、おお、家の屋根が木々の合間に見える。

良かった。背筋に電気、安どの息。
抜け出ると、6時半。まだ明るい。
自販機があった。サイクリストが好む、コーラを飲む。
「告!!」の看板。ほんとその通りだ。反省。

まあいろいろと思いに浸る一日だった。
涌蓋山、ありがとう。