楽しかった夏休み!№133

なんか小学生の作文のタイトルみたいですな。還暦を過ぎると子どもに戻るということだ。だれかが同窓会で「暦が還る」みたいなことを言っていたっけ。
昨年よりママと私は別々に夏休みをとることにした。「旅は一人でするものだ」とは、よく聞かれる言葉だが、一人で旅をすると、二人旅とは確かに違うものがある。私は、ほぼママといつも一緒にいて、旅行もほぼ二人か家族でやってきた。家族といると安心感もあり、感性ものんびりするようだ。
しかし一人旅は、感性を研ぎ澄ます。見るもの聞くものすべてが主体的になり、ビンビンとハートに響いてくるようだ。そして旅で出会う人との交流やふれあいなどの機会も多くなる。むしろそれが旅の醍醐味ともいえる。同じ景色も、その地の人とのかかわりがあればぐっと深くなる。

8月18日(月)
日曜日ハードな仕事を終え、12時ごろまで旅の下調べをネットでやっていた。翌月曜日、朝6時に愛車フォレスターで出発。天候が悪く、当初予定していたバイクツーリングは、年老いた疲れた体では無理かとあきらめた。それと、ナビがなかったら目的地にたどり着けないのではということも。当方、相当な方向音痴。
まず向かったのは、北九州の息子がやっている整骨院。ナビで「北九州、田町」と入れたら二つ出た。なんとなく聞き覚えがあった八幡西区の田町を選んだ。すると、とんでもない山の方の細い道の一角へと導いてくれた。(おかしい、息子の整骨院は、大都会だったのに)慌てて、アイパッドで検索。すると小倉北区田町と住所が出た。
あ~最初からなんてミスだ。息子は「仕事が始まる前8時45分に来てくれ」ということで、朝の6時にスタートしたのに。そんなこんなで、9時半に整骨院に着く。お土産の安心院産ブドウを渡して、2分で出る。

下関に住んでいるオニパンのお客様の近くまで旅をするので、いい機会だと思って連絡を取った。すると、ぜひよってくださいとのことで、悪いなあと思いながらも、天性の人好きな性格もあってか、厚かましく夕食をごちそうになることにした。
それまでに、有名な「角島(つのしま)」まで足を延ばそう、その途中で有名な「たかせ」の瓦そばを昼食に食べようと、車のハンドルをとった。

 由布院にも「瓦そば」のお店がある。しかし入ったこともなければ、食べたこともない。きっと瓦の上にそばが載っていて、ざるそばのように食べるのだろうなと思っていた。
ネットでは、おいしいと高い評価がなされていた。ちょっと期待しながら、元祖の「たかせ」に入った。

本館、別館など3軒ほどあり、行くのならと本館を選んだ。中は広く、いくつもの部屋がある。その一室で、料理を待った。

出てきましたよ。おおっと!すごい!
焼けた瓦の上に茶そば、卵の千切り、ネギ、
そして味を付けて焼いた牛肉が載っている。
う、うまそ~!!
そばからは立ち上る湯気。出汁にレモンや辛子を入れ、そばを食べる。
やっぱりうめ~!!

これは、ちょっとした文化的なショックだ。
味の面でも覚えのないうまさ。
茶そばと味付け牛の相性、瓦に焦げ付くそばのカリカリ感。いいですねえ。
なんか周りは一人で二人前を食べている。
私は、一人前でちょっと物足りなかった。
残念、二人前頼めばよかったなあ。

角島が山口でも絶景な観光地とは、今の今まで知らなかった。ところが、向っている最中に雨が降り出す。雨が降れば、その美しさは影をひそめるとのこと。まぶしい太陽に照らされ、島の緑やコバルトブルーの海の色が鮮やかに浮き上がる。
どうしよう、行こうか行くまいか。
ええい、行っちゃえ~。しかし、雨なら相当な時間の無駄遣い。

すごい雨!手前の道の駅で休憩。風もある。しかし、しかし、しばらくすると空が明るくなってきた。おお、奇跡か。日ごろの行いがこういうところで助けに回るのか。とにかく、今の内だ、行っちゃえ~!


それから、天気は回復の一途。
青い空、コバルトブルーの海。角島に向かう雄大な大橋。
きれ~!

下は、海水浴場と灯台。

夕方、お客様と待ち合わせる。即、夕食かと思いきや、なんと関門トンネルと平家一門を祀った赤間神宮を案内していただいた。
関門トンネルの人道はテレビで見たことはあったが、初めての見学。エレベーターで下におりる。中は、さすがに蒸し暑い。距離にして下関から門司まで1キロちょっとか。
ジョギングをしている人たちがいる。雨でも手軽に走れる場所なのだ。いいねえ、市民がそんな形で利用できるなんて。お金を取らないってのもいい。

赤間神宮は、とてもきれいな竜宮城のような感じ。急な石段を登ると目前に関門海峡が広がる。関門海峡を見てると、向こう岸の福岡があまりに近くて、まるで海ではなく河のように見える。その狭い海に源氏と平氏の船がひしめき、戦いが繰り広げられ、多くの人々が海に沈んで行ったことが、嘘のような気がする。赤間神宮には、平家一門の墓がある。そしてその横に、ラフカディオ・ハーンの「耳なし芳一」木像がまつられた御堂があった。

そして、お客様のお家に。お腹がすいたあ。
夕食をごちそうに!
なんと、夕食は瓦そば!!
おお、今日は結構ツキのいい日だ。お昼の残念な気持ちをリカバリー!
う、うまい~!
ビールもうまい! 左、瓦そば、右はゴーヤチャンプル。下関では、各家庭の瓦そばの味があるようだ。大阪で言えばたこ焼きみたいな。

かくして夏休み一日目は終了。何と中身の多い、充実した一日だったことか。
そして、二日目は源平合戦から700年後、またもや国の歴史を大転換させた明治維新の主要な舞台として現れる長州は長府(下関の一部)の観光。

暑い!蒸し暑い!塚原では味わったことのない暑さ。まあこれが普通なのかも。
汗をかきかき、功山寺へ。なぜって、ここはあの高杉晋作が奇兵隊80名で、国を変えるために挙兵した場所。前から一度行ってみたかった。
行ってみると、山門修理中だった。山門の下の地中に水脈があるとのことで、軒が歪むとのこと。
見学会があったので、中に混じって、お話を聞かせていただいた。

そのあと、坂本竜馬がお世話になった方々のお墓参り。竜馬は、自分の親戚みたいな感覚なので、一応お礼を言っとかなくてはと、手を合わせた。

続いて、長府博物館。功山寺の中にある博物館で、ちょうど今回、竜馬に関わる資料の展示をやっていた。
竜馬の直筆の手紙など結構時間をとって読んだ。お竜との間でケンカになったことなどで、謝る
ものなど、竜馬の人間性に触れる思いがした。

高杉晋作は、若いのにずいぶん勉強家だったようだ。27歳8か月で逝く。
信じられない若さで、国を動かした。若者が動くとき国が変わる。

こうして下関観光は終わる。二日目の泊は、息子のアパート。
福岡に行く前に、下関のパン屋で食べログ1位のお店に立ち寄り、パンを買った。

すごく元気のいいお店だった。ポップ、ロックのようなリズムの曲がかかり、それにのって、職人さんが、生地のまるめをしていた。私の課題のハード系カンパーニュなどはなかった。デニッシュの色合いや成形の美しさ、フルーツの多様さ、ピザや惣菜系のパンなどバラエティにあふれ、製造が大変だろうなあと思った。職人さんもたくさんいた。おいいしいが味が濃い。メロンパンのクッキー生地に粉チーズ、中にはカスタードとヨーグルトクリーム。こんな感じで、一工夫二工夫をしているのがわかる。
相当こだわりを持ってパンをつくっている。カレーパンのカレーも自家製。半熟卵が入ったものもあり、ちょっと普通では考えられない手の掛けよう。カレーは、やはり油で揚げている方が味的にはうまい。うちのは焼きカレーパン。ちょっと物足りないかも。

息子のアパートに泊まり、夏休みも3日目。息子のアパートの前に本城公園がある。その公園がとてもいい。立派なジョギングコースがある。一周1.3キロ。
私は、そこで1時間ほどジョギングをした。汗が流れる。毎日のビールを絞り出すかのような。
体が元気になった。そして、最終の目的地、福岡県朝倉市秋月の「月の峠」に向かった。

ここのパン屋も食べログ第一位。ここは、あこ酵母が気に入った社長さんがすべてあこ酵母でパンをつくっている。その社長さんは秋月で、製麺工場や食事処お土産店などたくさんのお店を経営しているとのこと。月の峠も観光バスが入る大きな駐車場があり、観光のコースになっている。
だから、作る量も半端ではないのだろう。一日にカレーパン900個とか。
行ったとき、お客さんがお店にはいなかったが、久留米ナンバーの車が駐車場に10台近く停まっていた。職人さんの車なのだな。
あこ酵母なので、作られたパンのことはよくわかる。だから、有名店のパンがどのようなものなのか試してみたかった。

自分のつくっているパンがどのような位置にあるのか、何が課題なのか、それを冷静に見極めないと進歩はない。そういう意味で、意味のある研修の機会となった。

しかし楽しい3日間だったなあ。