別府店がオープン№124

別府店がオープンしました。別府駅北高架下の商店街です。別府で生まれ、別府で育った私にとって、別府は居心地の良い場所。そこにお店を出せることは、有難いことです。
決して事業拡大なんてことを考えての新店舗ではなく、ただただ私たちの労働時間を短くするための方策を考えてのことでした。新しい従業員さんを加えることでしか事態を打開できないと、パンの製造を3人体制で取り組む事に。その体制を担保するためには、販路拡大が必要条件。その結果として、別府店誕生。
高校時代の同級生、村谷君の青果店での出張販売を半年続け、別府での販売の手ごたえを感じたことも開店を後押ししました。
しかし、多少の(多大かも?)計算違いも出てきています。
製造量が増えたこと。11時半までにすべてのパンを焼いてしまうこと。
そのためには、朝早くから生地の分割をスタートさせないと間に合わない!!!
車での移動時間のロス。等々。
解決すべき多くの問題が出てきています。
この折々帳を読まれた方は、楽屋裏が丸見え状態で、少なからず、同情やご理解もいただけると思いますが、商売はそんなに甘くない。別府店で開店を待って並んでいる人(まあ、開店当初なので並んでいただけていると思っていますが)などもいて、開店が少し遅れたりして、ご迷惑をかけたりで・・・。
60歳にしての新しい展開に、ママも私もすこし戸惑っている次第。

新しいスタートに、悲観的なことばかり書くと縁起も悪くなる。
オニパンらしく、ふわっと、いい感じの文も書かないとね。

たまたま巡り合ったお店の場所が、別府駅北高架商店街。ちょっとうまくいきすぎた感もあります。なぜって、それは、北高架商店街に行ってみればわかります。
古いお店と若いお店が見事に混ざり合い、アートと浪花節がそれぞれに花開いたような。
毎週土曜日500円出せばだれでも参加できるフリーマーケットが、なんと3年間も続けられているとのことです。
先月1月18日、開店の日、私も行ってパンの販売をしました。
その日は、私の60回目の誕生日でもありました。私の人生の記憶に残しておきたいと開店日を決めたわけですが、同時にもっとでっかいサプライズが北高架商店街で起きていました。
フリーマーケットに集まる人々をかき分けるように、結婚行進曲にのって一段の人の塊。
先頭に牧師さん、そのあとに新郎新婦が。
なんと、商店街で結婚式が始まるじゃあないですか。
見ると、その新郎新婦は、私の知っているオニパンのお客さま。もう驚きました!それを企画した高架商店街のレコード屋さんにも脱帽と驚嘆!
そのレコード屋さんはついでに、「今日はオニパンさんのオープンです!おめでとうございます。そしてマスターの60歳の誕生日!皆さんでハッピーバースデーを歌いましょう!!」なんて言ってくれて。恥ずかしながら、喜びもひとしお気分で、一緒に歌いました。

北高架商店街の人々は、昔でいえば、「チロリン村とくるみの木」「ひょっこりひょうたん島」みたいな感じ。今まで個人でやってきた商売を、共同で助け合いながら商店会を運営していくのだと、なんか仲間ができてとうれしい感じ。
新しい出会い。元気湧出。。

新しい出会いと言えば、忘れてはならないのが、お店をつくってくれた方々のこと。
若い人たち。40前後。
オニパンのお客様であり、人柄を見込んで仕事を依頼した蓑原工務店さん。
前回の折々帳でも触れましたが、その仕事スタイルは、敬服ものです。
自分の納得のいくまで、仕事をあきらめないというか、同じ職人として相通じるものを感じます。
ほとんど彼の思うようにやってもらいました。低予算にもかかわらず、すてきなお店にしていただけました。見えないところまで、配慮と丁寧がちりばめられています。
蓑原さんのもとに集まる若者たちは、それぞれに気持ちと職人としての意識の高さを持ち合わせた人たち。こんな人たちにもっと活躍の機会が増えればと願わずにはおれません。

看板左はママが木彫りで作りました。右は、大阪の友人(酒井さん)の陶板。
吊り下げている支えの木(枝)は、スガハラさん作。

お店の入り口。板張りの隙間に壁土が埋められています。ガラスには、高校時代のクラブの後輩(管板屋)がつくったサインが貼られています。

入口より段差のないコンクリの床。右は、入ってすぐ右の手洗い場。色違いの壁土を塗ってくれています。驚きは、できるだけ、角をとった曲線のカーブで部屋全体の壁をつくってくれていて、照明が緩やかに部屋を回ってくれます。

上のタオル掛けのようなものは、トングを掛けるもの。
スガハラさんに頼んで作ってもらいました。右は、
奥様のさとこさんが描いてくださったオニコーボちゃんの絵です。彼女がオニパンカフェのために考えてくれたオリジナルキャラ。

部屋全体が柔らかい光で包まれたような。土壁のドームにいるような。

パンを並べるカウンターは、立派な杉の一枚板。プライスカードを差し込むところも工夫して作ってくれました。右はレジ台。分厚い天板とその下は、土壁の左官仕上げ。イイですね!
レジ台の裏側の壁も、隅々まで左官仕上げ。その丁寧さには唖然です。

お店そのものが芸術作品のような感じ。ギャラリーです。
この仕事に関わった人たちの名前を一枚のプレートにして張り出してくださいと、蓑原さんに頼みました。別府店に来られたら、パンもそうですが、お店の隅々までぜひ注目を。きっと、職人さんたちのさまざまな気遣い、息遣いが感じられるはずです。