パン屋の休日 塚原の山を登る №114

ついに憧れの山を制覇!それは富士山でもエベレストでもありません。
身近な身近な山。私たちが暮らす塚原高原にそびえたつ鞍カ戸(くらかど)岳、内山、伽藍(がらん)岳。
 つらいですねえ。私のパソコン技術だとこんな風にしか写真説明ができない。とりあえずわかるでしょうから我慢してください。
塚原から見える山容です。この姿を見て、地元の方々は涅槃像といわれています。確かにそう見えてきます。神秘的で、侵しがたい雰囲気を感じさせます。
私とママは、いつかこの山を制覇し、この山のてっぺんから、塚原を見下ろしてみたいと思うようになってきました。塚原に生活して、丸5年。美しい塚原高原になくてはならない山々。この山々に登ることは、塚原を深く知っていくうえで、必要欠かせない条件かも。

鞍カ戸岳は、尾根伝いに鶴見岳へと続く。塚原から猪せ戸(やまなみハイウェイ)に抜けるエコーラインの峠あたりにある鶴見岳西登山口より入る。味気ないがれ場を馬の背までのぼり、左方向へ道をとると鞍カ戸へたどれる。
鞍カ戸には、Ⅰ峰、Ⅱ峰、Ⅲ峰があり、Ⅲ峰が一番高く、また頂上としても立派で見晴らしもよい。
鞍カ戸Ⅲ峰に向けての馬の背という尾根道は、まさに馬の背のような切り立った道だ。所々はしごやロープがあり、結構スリルがある。

1344mの鞍カ戸岳頂上。西には由布岳を眺望し、北下には塚原が。ついに、見たぞ!
塚原を上から見下ろせた!しかし、塚原全体が見えるわけではなく、立石山のふもと、塚原牧場あたりは見えるものの、それより南の地域は下の山が邪魔している。
この尾根道の先は、舟底(ふなぞこ)と呼ばれる谷に続く。そして内山、伽藍岳がその先にあるわけだ。4月10日は、ここまでで、引き返す。次回は、伽藍岳方面(塚原温泉)より内山を制覇するぞ!

5月8日、塚原温泉手前。何と清々しい天気か。空は澄み切ったブルー。若葉が黄緑葉(紅葉に代わる言葉はないのか?)して、まるでゴッホのような色彩に彩られる景色。

山肌が削られた鉱山の色も複雑で美しい。さまざまに色が混ざり合う。
塚原越より内山に向かう。塚原越は、明礬温泉に続く道や内山・鞍カ戸・鶴見岳縦走路の起点ともなる。

塚原越から明礬に続く険しい登山道がある。
「兎落し」と呼ばれるその道に踏み入ると10メートルほど先に大きな岩があり、その下より、蒸気が噴き出している。熱い。
次回は、この道を踏破してやろうと考えながら、また内山の方へ足を進める。

内山頂上に向けての道は、ほぼ尾根道。ここも、鞍カ戸岳同様、両側がけわしい崖になっている。鞍カ戸に比べれば、まだ道もしっかりしていて、案外緩やかで歩きやすく、心地よいトレッキング道みたいな場所も多い。そうかと思えば、ロープにしがみつき、急斜面に張り付くようなところもある。刺激があり、面白い!景色もいい!眼下に別府湾が広がり、日出、杵築、国東まで眺望できる。ママは、内山がとても気に入ったようだ。

内山より塚原を望む。鞍カ戸よりも広く、塚原全体が見渡せる。

内山頂上付近で、扇山方面へのポイントがある。この道もいつか制覇してやろう。

この先は、頂上から舟底へと続く。
舟底は、急斜面で、雨の日などは転げ落ちる危険性もあるとのこと。今日はママと舟底への冒険を決行する気で家を出た。


内山の頂上で記念写真。

頂上から大分方面を望む。

舟底に着いた!やっぱり急だった。しかし、転げ落ちるほどではなかった。舟底は、とても広い。巨大タンカーのの舟底だ。景色もよく別府湾が一望。反対に別府から見れば、ここがしっかり見えるのもうなずける。

反対を見るとこんな感じ。右斜面が内山側、左は鞍カ戸側。なぜか、太い大きな鉄のパイプが横たわっていた。

さて次回は、塚原越から、明礬温泉へ。
「兎落とし」の難所だあ!

5月15日。塚原越から、一気下降し、明礬温泉へ出るコースはいかがなものかと考えた。
やはり山は登るものだ。それで、明礬温泉から塚原越へ、登ることにした。途中、秘湯、鍋山の湯を通るコース。この秘湯は、2年ほど前か、殺人があった場所だ。現在は通れるようになっている。途中に立札。左はへびん湯、右は鍋山の湯。

途中。開けた道。左は大平山(扇山)。

鍋山の湯近く。まさに禿鷹のような場所。所々より、ガスが噴き出している。塚原温泉の付近とよく似たような雰囲気がある。

ここだあ!鍋山の湯だ。こんなところでお風呂に入るのは、ちょっと勇気がいるなあ。
特に夜は真っ暗で怖いだろうな。
温泉は熱い!!湧水で薄めていた。

ここから、塚原越へ挑戦。道はよくわからんが、何とかなるだろう。

甘かった。アマちゃんだ。何とかなるだろうと、テープを頼りに登って行ったものの、途中で道を間違えてしまったようだ。大変なところに足を踏み入れる。

怖かった。これでおしまいかと思った。急斜面。足元は、乾燥した土。ぼろぼろ。岩も多い。
上を見上げた。すると、たくさんの岩が土より露出。一つ岩が崩れれば、次々と崩れ落ちそうな場所。実際、たくさんの岩が下に落ち積み重なっている。我々の足が、衝撃を与えれば、それでおしまいになりそうな状況が・・・。

「ママ、ここは、非常に危険だ!!何とか横に行って、木が生えている場所へ移動しよう!!」
私の意図が通じているのかいないのか、ママは怒ったように、「そんなこと言ったって、動くの大変なんやから」と、なかなか動こうとしない。
文句言っている場合やない。ここで死んだら、しょうもない。こんな死に方は、意味がない。
私は、冷や汗を垂らしながら、必死で、移動。ママもこの状況が理解できないまま、私の後を、文句を言いながら移動。とにかく、助かった。あ~こわ。

このあと、道なき道を、必死で登る。すると、何とかちょっと道っぽいところを見つける。
おお!靴の跡らしきものがある。助かったかも!
すると、下で、ママの声。「あ~、大変やあ。頭をうったあ!首が~!晃英さん、助けて~。」
これは嘘ではない、ホンマの話。
私は慌てた。ママにいったい何が起きたのか。火事場の馬鹿力か。さっと、ママの所へ降りていった。太い木の枝が横に張り出している下にうずくまるママ。「う、動けない。」とママ。
斜面に取付いて登っていて、頭を上げたとき、上に木の枝があったわけだ。無防備に頭を打ち付け、足まで電気が走った。それでしびれたようだ。

その直後の写真だ。ママを後ろより撮った。
しばらくこのまま休憩。下は転げ落ちるような急斜面。これが「兎落し」か。

この後、二人は、正式な登山道を発見。案外しっかりとした道を、塚原越まで歩く。
ついてみると、この道は、「兎落し」ではなかった。塚原越から始まる、十文字原へ続く道だった。ということは、まったく正式なルートではない道を横切って、うまく違う登山道に出くわしたというわけ。それにしても、あぶない山行だった。

というわけで、次回は、「兎落し」を、塚原越から、明礬温泉の方へ下ることにした。これならば、間違うことはないだろう。