パン屋の休日 サイクリング編 №84

パン屋は休日に体を鍛えないといけない。ひと月ほど前に、チェンソーで庭のケヤキを切り倒した時より、腰痛がひどくなった。京都のチェンソー講座で、伐採の仕方を学んでいたものの、本物の大きな木を切り倒したことなど経験がない。テレビで木の下敷きになって亡くなった方の報道がしばしばあるわけで、「次は俺の番かな」など、不吉な思いが脳裏をよぎる。人生初の伐採は、過度な負担を肩や腰にしいらせていた。それから、コルセットを肌身離さず、愛用しているわけだ。
腰痛を治すためには、休養が大切だろうが、現実的ではない。お客様はパンを待っているわけで、腰痛をだましだまし、労働に励んでいる。休日に、ゆっくりしていると、次の週はより体が疲れることは、経験的にわかっている。それで、少々辛くても、休日は体を鍛えることにしている。
腰痛持ちには、ジョギングは応える。コルセットをしてジョグをしていても、翌日、さらに腰が痛くなる。それで、サイクリングに切り替えた。腰への負担はさほどなく、2時間ほど走っても、大丈夫だった。

軽トラに2台の自転車をのせた。一台はイギリス製のマウンテンバイク。もちろん私の愛車。どんな坂でも登っていくし、急な下りでも安定している。もう一台はママのバイク。これは私のよりもすぐれもので、私が「ヒーヒー」言って登っているときでも、スイスイ追い抜く代物。ヤマハの電動サイクル。
しかし、バッテリーが切れたら大変で、押していくのも重たい鉄の塊でもある。

私たちが今ハマっているコースは、湯の平温泉から長湯温泉へ続く道。夏でも涼しく、車も少なく、緑豊かなロード。軽トラを止めて、その場所から30分ほど走ってまた戻って来る。約一時間のショートサイクリングコースだ。しかし今回は、ちょっと足を延ばしてみた。

いつもの折り返し地点付近に、看板があり、「この先5K、男池」とある。男池(おいけ)といえば、超有名な名水。いったことがなかったので、腰痛持ちではありながら、男の生き血が密かに騒いだ。「行こうぜ!」ママに言った。「え~行くの!?」だいたいが、ママの反応はこう。必ず私の誘いに「いいわねえ!」と応えない。しかし、おおかた、その通りになる。
5キロといえば、自転車でゆっくりいったとしても、30分ほどだ。しかし、その5キロは、結構しんどかった。延々と急な登りが続く。「ヒエ~、ヒエ~」。
途中、「自然の炭酸水」の看板がみえた。(そうか、長湯温泉もそうだったが、この地域は、炭酸水が湧出しているんだな)
そのうち、立派な、建物と登り旗の目立つ「白水鉱泉」が目に入った。ちょと立ち寄ってみよう。

サイクリングをしているようには全く見えない、ママチャリ風のママをモデルに、白水鉱泉をパチリ。

このお水は、まさにソーダ水。砂糖を入れたらおいしいだろうと思いましたね。天然にこのような水が湧きいだしていることに、感動しますね。

さて、30分のつもりが、結局50分かかって、急な登りを制しました。あの男池についに到着。
嬉しかったねえ。