何のために №75

パン屋を始めて、3年が過ぎました。前職の経験からすれば、やっと仕事のおおよそが見えてきたにすぎない段階だということでしょう。ほぼどんな仕事でも、3年じっと辛抱すれば、やり方も分かってきて、次の課題も見えてくるのだと思います。同時にその初めの3年間に、どれだけ多くの失敗や挑戦をしたかが大切だと先輩諸氏にやかましく言われたことを思い出します。
まだまだ「若い」(パン屋での業界用語として使われる場合は、生地が十分発酵していない未熟な状態を言う)私ですが、最近、お客様を通じて色々と考え気付かされ、何となく「熟成」に近い人生の核心みたいなものが見えてきたような・・・気がします。

「3年間、自分なりに一生懸命パンをつくって来ました。」「だからどうした?」
「3年間、ハードな仕事に、よく耐え抜いたものです。」「だからどうした?」
「結構、多くのリピーターさんもでき、美味しいって言ってくれるんです。」「だからどうした?」

「だからどうした?」というのは、私の心に居る、厳しい先輩達の言葉です。
「日浦よ、お前、何のためにやってるのか?」これが、続いてでてくる言葉です。

7月3日(日)は、たくさんのお客様に来ていただき、この梅雨時としては、久しぶりに上々の売れ行きでした。それにも増して、嬉しく心ときめくことが立て続けにありました。

大分市のI様が久しぶりにオニパンへやってきました。ご主人、娘さん、奥様、そして最近生まれた赤ちゃんも一緒に。私は、ママほどお客様に通じていないので、初めは、通販をよく取っていただいている方だとわかっていませんでした。私が話しかけると奥様は、出産が大変で入院していたこと、そんな中で、自分や家族にとって、送られてくるパンや、その箱の中に入っているママの短いお手紙がとても楽しみだったと話してくれました。その話ぶりで、奥様の熱いものががストレートに私の胸に伝わってきました。

閉店も間際の頃、湯布院のサクラさん(ニックネーム)が来られました。サクラさんは以前より発達障害の子と親のための教室を主宰していて、そのための努力や経営的なご苦労に、頭の下がる思いでいました。難題をたくさん抱えながらも、いつも元気で明るいサクラさん。私たちも、何とか道が開かれることを願っていました。この日は、いつにもまして、あっかるいサクラさんです。聞くと、ひょんなことから、親と子の発達教室の開催や、経営的展望が見えだしたとのこと。(すっご~い!!)
(さすがサクラちゃん!!)
それにしても、この人、人のための熱意、普通じゃない!!

おいでませ、湯布院へ

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(サクラさんのブログに載っていた記事。サクラさんが関わることになった、「座忘居」という貸別荘です。

6月29日の記事を読むとサクラさんのことがよくわかります。
(おいでませ湯布院へをクリック)

閉店して次に現れた方は、九重(ここのえ)の民宿「ちどり」の女将さん。
オニパン3周年を記念して、お隣忘路軒の女将さん推奨の、「美味しい料理といい温泉」ということで向かったのがこの民宿「ちどり」でした。美しい飯田高原を通って、オニパンから約一時間。お昼の3時頃出発し、途中カフェでコーヒーを飲み、4時半着。お風呂に入って、6時よりお食事。出てくる料理のおいしいこと!女将さんはお客さんのために、近くの地熱発電所に出かけ、お野菜を「地獄蒸し」して、アツアツを食べさせてくれもします。「う~、まいった!」って感じのもてなし。そして、料金は一人3000円でした。お風呂も良かった!!お家に帰ったのが9時過ぎ。半日で、こんないい思いをしたのは生まれて初めて!決して言い過ぎではありません。とても幸せな気分をいただけた「ちどり」でした。その女将が、4日後、忙しいにも関わらず、オニパンに姿を現したのです。何という、フットワークのすごさ!

右は「ちどり」の料理例(ホームページより転載)。もっとたくさん出てきます。

世の中にある様々なお仕事。忙しくなりすぎたり、過重になりすぎたり、儲からなくなりすぎたり、儲かって儲かってたまらなくなったりする中で、基本とする軸がぶれてくるものだと感じます。
頭に「何のために」をつけることで、もう一度見つめ直さねばと感じた7月3日でした。