塚原の日の出

自然の持つ力を感じながらのパン屋生活です。私のパン工房は、私のものであって、私の一日の大半を過ごす場所なのだから、私にとって過ごしやすい空間に日々リメークされていきます。暑~い夏をやり過ごすため、私のとっている対策は「開けっ放し作戦」。いたるところの窓や戸口を開け放す。工房には、大型機械を搬入するための、大きな開き木戸があります。幅も高さも2メートル以上ある大口径の戸口を開けっぱなす。もちろん、そこには網のスクリーンを張ります。大型機械が道路よりまる見え状態ですが、カッコなんて言ってられません。機械にも人間にも心地よい涼しい風が入って来ます。
その開けっ放しの戸口は、外の世界と私の空間を一体化させる効果も持ち合わせています。塚原に住む朝起きの方が5時ごろ散歩のついでに、私に道路より声を掛けてきます。「おはようございます。」
少し明るくなってくると、鳥のさえずりが聞こえてきます。都会にいるときには聞いたことのないような、明るく楽しく、長~いおしゃべりの声。こちらまで楽しくなってくる小鳥の声です。
パン生地を丸めていると、機械の上に広がる空が、薄紫に変化してきました。そしてその上の空は澄んだ青みが鮮明になって来ます。1~2分すると、その薄い色は、徐々に赤みを帯びて、工房から見える空いっぱいに赤紫の色を塗り広げていくのです。私は、そわそわして、この一瞬を見逃しては人生最大の損だとばかり、外へかけ出していくわけです。(まあいいや、4~5分くらい、パン作りが遅れても)と、言い訳しながら、ほぼ毎日のように、塚原の日の出を眺めます。そして、手を合わせて、お願い事をします。

8月28日 5時28分
右 伽藍岳
左(鉄塔あり)むけんやま

デジカメの露出の調整が微妙で、実際はもっと明るいそら。

ああ、もっときれいなんだけどなあ。


これは、7月10日5時4分。
前の畑にガスが広がり、そこを黄色のキツネが、ぴょ~んぴょ~んと横切って行きました。なんていうか、おとぎの世界みたいな光景でした。

自然の色の美しさ。人工的には出せないですよね。だから、惹きつけてやまないのでしょう。下の写真は、家の中での光景。塚原は家の中でもこんな虫が入って来ます。「どうしてこんなにきれいなの」っていう色をしています。