紅葉真っ盛り

湯布院塚原に来て2年目の秋。昨年は、それほど紅葉を意識することもなかった。毎週、由布岳を取り巻くように続く617号線を塚原高原より湯布院へ下りていた。塚原の人たちは湯布院のことを「した」と言う。「した」に向かう道は由布岳の山裾を左に見ながらぐんぐん下っていく。ちょっと暗い茶色に焦げたような紅葉が広がり、特段美しいとは感じられない秋だった。
今週の月、火と大阪時代の知人で現在、福岡で働いている若い女性のヒロヤンがオニパンカフェにやってきた。彼女は、オニパンカフェのしきたりを良く知っている人だ。しっかり働かないと一宿一飯の恩恵を被れないことは了解済み。今回も、バンジュウ洗い、厨房の床磨き、夕食作りなどがんばってくれた。その彼女に、せっかく塚原まで来たのに、働かせてばかりでは悪いと、ママと私3人で朝食に湯布院の「マルク・シャガールゆふいん」へモーニングを食べに行った。この店のオーナーさんとは知り合いで、最近お店に出した自家製の「クロッカン」をすすめられていたので、一度行かねばと思っていた。
3人で「した」へ向かう道の光景が、昨年のそれとはまるで違うことに気がついた。塚原のドングリ茶屋を出て進む道の両側の木々の紅葉の美しいこと。さらに由布岳を迂回し下へ下りると、左に広がる景色に心奪われた。笹や萩等の草原の色は黄色茶色黄緑えんじ色の絨毯のように地を覆い、そこに生えている低木の木々の大きな葉っぱは変化のある茶色に彩られている。「あ~きれい!」3人は思わず声に出しながら「した」に下って行った。
「マルク・シャガールゆふいん」でゆっくりと朝食をとり、例のクロッカンも買って、塚原へ戻る。今度はのぼり。下りよりもしっかりとその紅葉(茶葉)の美しさが目に焼きつく。そのとき、(もしかしたら)とひらめくものがあった。オニパンに来たお客様が「エコーライン、通ってきたけど、きれいやった」との言葉を思い出した。オニパンには戻らず、そのまま、エコーラインへ。(う~ん、これまたきれい!)特に、紅葉した樹木の間から垣間見える由布岳斜面の紅葉がまた美しい。3人の探索はこれで終わらなかった。エコーラインでさらに、弾みがつき、「猪の背戸」から由布岳正面登山口の方へ。
そこは、もう圧倒だった。ちょっと表現しようのない世界が広がっていた。小雨降りしきる雨の中、「雨が~こつぶうのしんじゅなら~♪山は~えんじ~の夢せかい~♪」(わかるかなあ、橋ゆきおの歌だけど)みたいな調子でうっとりひたりきってしまった。この年になるまで、紅葉でこんなに走り回ったことがなかった。ヒロヤンのおかげで、貴重な一日を過ごさせてもらった感じだ。付け加えて言わせてもらうと、翌日(つまり今日)も、雨の中、私はカメラを持って、同じコースを・・・。ほんと、どうしようもないですね。うまくカメラで表現できるかどうか分からなかったけど、近場の方には、今週の土日くらいまでに来てみたらと思って載せました。紅葉と同様、草紅葉と言うのか(えびの高原もそんな感じなのかなあ)茶色のグラデーションの美しさ是非一度見てほしいです。

小雨に煙る「雨のエコーライン」

晴れた青空のもとでは、この色がさらに美しく燃え上がると思います。今週が見ごろでは。(11月11日朝)