児童文学

子どもの頃から読んだり書いたりすることが割と好きだったみたいです。私の宝物は、小学校の低学年の頃(1年生か2年生の頃?)読んだ『しあわせの王子』という本。発行が昭和32年になっているので、50年前のものです。読んでいて悲しくなり、ポロポロと涙がこぼれたことを思い出します。何をどう感じて涙がこぼれていたのか良くはわかりませんが、その本だけは大事に今でも持っています。大人になって、読み聞かせをする機会が度々あり、ふっとその本のことを思い出し、読み聞かせのレパートリーに加えました。するとどうでしょう、私は読み聞かせをしながら、また子どもの頃のように涙がこぼれるのです。オスカー・ワイルドという作家は学生時代「耽美派」「退廃主義」などと言われて、あまりいい印象は持っていませんでした。「サロメ」など有名な作品を残していますが、私自身読んだこともなく、その偏見的な印象から読むこともしませんでした。しかし、「しあわせの王子」は、とても純粋な美しいお話で、あらためてこれがオスカーワイルドの作品なのかと疑ってしまうのです。ツバメと王子のやり取りの場面。ツバメの優しさに気付いた時には本当にかけがえのない存在を失うという悲劇。その美しい純粋なハートのストーリーは、何度読んでも心を打たれてしまいます。私の持っている本は1950年平塚武二訳であり、訳者が意識的に変えた部分があったり、その訳自体少々固い所もあり、別の訳者であればまた違ったものになるのかなとも思います。誰か「しあわせの王子」を読んだ人はいませんかねえ。人によって感じ方も違うのでしょうが・・・。

紙が黄ばみ、ぼろぼろと崩れそうな感じです。古いものは年月がたつほどに値打ちが出てくるなあと、つくづく感じてしまいます。

最初の何ページかだけ、カラーで印刷されています。